2013年1月15日火曜日

我がロマンチック街道 その四





 大昔、キスリングを背に其処を登った。お蔭様で吹き降り、冷え切った腿はつりかけて、騙し騙しやっと平標に立った。(詰まり、筋肉がつらない様に筋肉を騙し乍ら歩くので、其の意味が分かる人は、少ないでしょうね)
 天気は回復しそうに無い。すっぱりと縦走は諦めて隣の仙ノ倉山(2026,2m)迄進み、ピークの西側の雪面に幕営した。風当たりが多少増しだったのだ。それに、翌日はシッケイ沢を下ると決めたので、少しでも近づいておいたのだ。積雪期の上越国境での無理は、(無雪期でも、で有った)絶対に禁物なのだ。
 翌朝、相変わらずの吹き降りで有る。とても嬉しい。どんどん下って毛渡沢に合流し、暫くで滝に出会った。地図で滝の存在は確認して居たのだが、雪に埋まってるだろうと、淡い望みを抱いて居たのだ。
 甘かったです。埋まる様な可愛い滝では無かった。其処迄下ってりゃあ登り返す気力は無い。絶対に無い。
 仕方無く大高巻きをした訳だが、滝が遥か下になって、ピッケルを根本迄差し込み、一歩一歩を慎重に蹴り込んでビクビクとトラバースした、高所恐怖症で臆病な私(恥)。
 仙ノ倉山へ戻ろう。西に進むとエビス大黒ノ頭を越えて毛渡乗越へ下る。岩稜の急坂なので、悪天候の時は(普通でもね)嫌な場所だ。毛渡乗越から登り詰めると万太郎山(1954,1m)に着く。此の間に二つも避難小屋が有る。それだけ、(天候に依り)ヤバイ区間と言う事。
 万太郎に立てば一安心、雄大な景色を楽しめる。あくまで景色が有ればだけどね。
 先はまだまだ長いので急ごう。三つ程ピークを越せば谷川岳で有る。途中の小障子ノ頭とオジカ沢ノ頭にも避難小屋が有る。余程天候遭難が続出したのだろう。此れでもか、と言う程の念の入れ様なのだから。
 (我がロマンチック街道 その五へ続く)

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

写真、素敵な縦走路ですねー。ただでも雪の多い、上越の山で、積雪期に滝のハングオーバーをトラバースする、って、命がけですね。よく生きて帰られました!でも、冬でも凍らないくらい水量が多くて、急な滝って、綺麗だったでしょうね!!!

kenzaburou さんのコメント...

それが、滝が遥か下になる程の大高巻きだったので、何が何だか分からずに、唯足元と行先のみを見つめて居たのです(恥)。