2012年8月2日木曜日

ハイクへのお誘い その十六




 つい山女を語っちまった。山男が少ないのは、女性の方が根性が有るって事だろう。え、其れは昔からだって?確かにそうだ!
 彼の追分から四十五分位で山頂に着く。其の間には様々なドラマが有る。いかん、此処は山の報告では無かった。
 少し位は良いだろう。寝そべって居た山女は、ノロノロ起きて出掛けた。あたしは離れて煙草を吸って居た。煙草の煙は不快だろうから。彼女の寝て居たベンチは汗でビッショリ濡れて居た。良くぞ頑張った、山女よ!
 彼女に追い付くのは、思いの外時間が掛かった、十五分位かな。初老の夫婦を抜いた。奥さんは道端の石に腰を下ろす処だった。
奥さん「疲れちゃって」
私「暑いですからねえ」
奥さん「あ、地下足袋?」
私「地下足袋です」
 当然乍ら、珍しかったのだろう。やがて鳥居が見えた。頂上直下で有る。一登りで雨降神社だ。




 最初の写真は、高取山方面だ。ゴルフ場の横が其の高取山だ。長く延びた集落は、大山町の続きだ。足元は相模平野から関東平野迄、一望で有る。唯、日向は暑い、日陰は流石頂上、ヒンヤリとする。
 公衆トイレを越えて裏に回ると、丹沢の山々が揃って居る。普段は富士山も聳えて居るのだが、此の日は雲の中だった。景色を楽しんで表に戻ると、件(くだん)の山女が現れ、日陰に休んだ。無事に着いたかとホッとしたのです。
 山頂に居た人は、十四、五人、平日だと言うのに賑わって居る。四人パーティの山女が来たのも此の時。「おめでとう!」と言い交わし、バーナーを出して何か作り始めた。あたしは見届ける程暇では無い。お握りを二つ食べて、山頂を辞した。
 下りは見晴台方面だ。道標を良く確かめて間違えない様に。十分も下ると、左へ唐沢峠への路を分けるが、勿論直進する。木の階段が連続する下りだ。焦らずに行こう。回りの緑は、中々美しい。



 山頂から地図上で五十分、飽きる位下って一寸と登り返すと、見晴台で有る。木の台とベンチがズラーっと並ぶが、日向なので座る気はしない。冬なら最高だろうが。思わず、お前の彼女は真夏の火鉢、みんな嫌がる手を出さない、なぞと下らない事を呟く。
 皆さんは東屋へびっしりと入って日差しを避けて居る。あたしは木陰で小休止だ。(続)

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

やっぱり山屋さんは優しいですねー!女性の山歩きをちゃんと見ていてくれて、遭難してないかどうか、見ていないようでいて、ちゃんと見ていてくれているのですね_! 感動です。そうやって、わたしも昔、いろんな山屋さんに助言され、励まされで事故に会わずに無事山に登っていたんだなあーと思って感慨無料です。

kenzaburou さんのコメント...

まったく其の通りです!!
昔の無鉄砲なDOGLOVERさんを、陰で気遣って居たであろう諸君の顔が(知らないけれど)目に浮かびます。
DOGLOVERさんは、本当の意味に於いて、幸せ者ですなあ。