十一月五日、絵本作家佐野洋子氏が亡くなった。実は其の訃報で初めて佐野洋子氏と、代表作“百万回生きた猫”を知ったのだ。
ざっと粗筋が紹介されて居たので、興味を持ち、図書館へ行った。絵本コーナーを見て回るが、馴染みの無いコーナーなので、見つけられない。 仕方無くカウンターへ行った。
私「伺います。百万回死んだ猫は何処に有るのでしょう?」
係員「百万回生きた猫です。こっちです」
死んだと生きたとでは、大分違う。良い恥をかきつつ係員について行く。
係員「はい、此れです」
礼を言って、椅子に座って読んで見た。絵本なので、即読める。即涙だった。
ネットから粗筋を借りて来て、ご案内しましょう。知ってる人は御免なさい。勝手に使って御免なさい(ペコリ)。
死んでは生き返ってを繰り返し、100万回もの生を受けた猫がいました。猫にはいつも飼い主がいました・・・その数100万人。
皆、猫が死ぬとワンワンと嘆き悲しみましたが、猫自身は一度も泣いたことがありませんでした。
ところが、この猫に見向きもしないものがいました。それは美しい白い猫でした。猫は腹を立てました。そして毎日毎日、白猫に「俺はすごいんだぜ、なんてったって100万回も生きたんだから」と、自慢話をしに行きました。
白猫は気のない相づちを打つばかりでした。今日も猫は「俺はすごいんだぜ」と言いかけて、途中でやめました。そして「そばにいてもいいかい?」と尋ねました。白猫は「ええ」とだけ言いました。
2匹は常に寄り添うようになり、一緒にいることがなによりも大切に感じるようになりました。
それからかわいい子猫がたくさん生まれ、猫はもう得意の台詞、「俺はすごいんだぜ」を言わなくなりました。いつのまにか自分よりも、白猫や子猫たちのことを大切に思うようになっていました。
やがて子猫達は巣立って行き、白猫は少しお婆さんになりました。猫は、白猫と一緒にいつまでも生きていたいと思いました。
ある日、白猫は猫の隣で、静かに動かなくなっていました。猫は白猫の亡骸を抱いて、生まれて初めて泣きました。100万回泣きました。そしてぴたりと泣きやみました。
猫は、白猫の隣で静かに動かなくなっていました。
それから猫は、もう決して生き返りませんでした。
おじさんが絵本を読んで涙をこぼして居るのは、絵にならない事夥しい。
ね、柄でも無いでしょう。
2 件のコメント:
良いお話ですね。本当に 優れた絵本は 一般書の何倍も訴えるものがあって価値がありますね。佐野洋子の絵本は絵がとても やさしくてあたたかく 好きでした。いまでも手元に置いておきたい絵本がたくさんあります。
流石に Doglover Akiko さん、佐野洋子
氏をご存知でしたか。あたしゃあ、知らなかった。
此の絵本には泣かされました。
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