2010年4月3日土曜日

あー、思い出したくない! その四

店 003

 (平べったいスキャン写真、失礼)
私「大丈夫ですか、御免なさい!」
其の人「うー、大丈夫」
私「本当に済みません」
其の人「(立ち上がり)大丈夫だよ」
 で、ほっとしてバスに乗って去ってしまった私。酷いなあ。滅茶苦茶痛かっただろうに我慢してくれた其の方、改めて御免なさい!
 いやあ、我乍ら実に駄目な奴だと、書くにつれ思えて、落ち込むのだ。真実だから仕方無い。まあ、救いは次の話がもっと罪の軽い事なので、取り合えず行っちまおう。
 春の表銀座は結構大変で、幕営可能なのは西岳のみ、外は雪の岩稜が続き、たまに下の方に梯子が見えて、あー、あそこが夏道なんだ、と思うのみ。とは言っても、北鎌尾根と比べれば天国なんだろう、行った事は無いんですがね、第一行けないし。
 兎に角槍の肩には着いた。臆病高所恐怖症の私としては良くやった。でも三十代だったので、当然では有る。
 ラッキーにも快晴の春山。表銀座は私の外は、一パーティがやって来ただけだが、槍沢からの登山者が数パーティ有って、槍の穂先は満員だった。ま、狭いので。
 ざっと景色を見て、即下りに掛かった。何と勿体無い事を当時の私はやってたんだろう。どんなに混んで居ても、雪の槍ヶ岳に登って来る人間は、多寡が知れて居る。百人も来っこ無いじゃんかさー!
 今なら、矢張り下るしか無いか、次のパーティが鎖につかまって待ってるんだから。
 下りも先行パーティに続いて行く。鎖便りの下りだから進みも遅い。槍の穂先が鋭くて良かった、さも無ければ鎖は雪に埋もれてしまう。
 私は急いで居る、横尾迄行く予定なのだ。焦って下って、人の頭を踏んだ、其れもアイゼンで……。
 「痛てー!」「あ、御免なさい!」は余りに例題通りなので割愛しよう。でも、滑落する程の打撃で無くて本当に良かった。もし滑落したら下に居る人達も皆落ちただろうから。
 何かと相当幸運でした。一つ間違えれば、と思うとぞっとするけど、皆さんも同じ様な思いは、散々して居ると思ってます(多分)。
 もっと軽い奴、しかも山仲間なので気楽なのだ。こうなりゃあほっとしたいので、許してチョーよ。
 零細山岳会が奥武蔵のどっかで飯盒水産をやった。男は竈造りと薪拾いに散り、女はカレーの準備に掛かる。
 私は竈を造って、何かを取りに行こうと歩き出したら、女性の叫び声。はっとして見ると、並べて在る缶から出したコンビーフを、私の汚いキャラバンシューズが踏んづけて居た。あ、と足を上げても手遅れとは此の事。
 でもですよ、流石我が同期生、まあどうって事無いので、確り其のコンビーフでカレーを作って食べたが、美味しかったのだ。皆美味しいと言って居たし。カレーに土が入って居て何だってんだろう。
 明るみに出せば楽になる?本当かい、ちっとも楽になって無いんだけど。飲み潰れる事にしようっと(涙)。

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

快晴の春の槍ヶ岳、、、て、この世で最高の登山ですね!!! 良い写真です。 本当に槍ヶ岳は最高ですねー。 風が強くて 鎖が凍って居て大変でしょう。そりゃ、アイゼンで 頭ふんずけたり、蹴っ飛ばしたり 滑ったり 仕方ないんじゃないでしょうか。

kenzaburou さんのコメント...

>、アイゼンで 頭ふんずけたり、蹴っ飛ばしたり 滑ったり 仕方ないんじゃないでしょうか。

何と優しいお言葉、救われます!