2009年7月9日木曜日

休題 その十九

店 030

 

 テレビで見る(殆ど見ないのだが)戦国の合戦シーンには唖然とさせられる。映画もご同様なのだが、皆ワーワー叫んで刀を振り回して渡り合って居る。え、ヤクザの出入りか?
 ヤクザの出入りだって、メインの武器は先っちょに焼きを入れた竹槍だ。
 具足に身を固めた武士が、刀で斬り倒される。何か、具足はプラスチック製か?ま、撮影ではプラスチック製に違い無いが、戦国時代の具足がプラスチック製で有る筈は無く、従って刀で斬れる訳が無い。
 それに、ああ何だか分からず敵味方入り混じっての混戦なんざ、殆ど有り得ない。第一誰が味方で誰が敵?
 実際に刀を抜くのは、倒した敵の首を切り落とす時位なものだ。接戦用の武器は勿論槍、或いは棒(鉄の輪を付けたり工夫は有る)。ぶつかり合うのは集団同士で、必ず先頭は槍を揃えて槍衾を構成して居る。其れも段々と長くなり、三間槍(約5,4m)が主流となっては、おいそれとは飛び込めない。
 処が接戦すらざらに有った訳では無い様で、両軍対峙して喚声は挙げるが、激突には至らず(戦国時代の人間でも命は惜しいのだ)活躍するのは、弓、種子島、場合に依っては投石。
 武士道を弓矢の道と言うでしょう。武士の表芸は乗馬と弓だった。「飛び道具とは卑怯なりー!」と言ったのは、精神文化が爛熟した江戸時代の話で有って、戦国時代はリアルな時代、飛び道具が主役だったのです。
 暇な(失礼!)先生が居て、古文書を調べて合戦での死因を算出した。お陰であたしがこんな大口を叩いて居るのだが。

戦国中期迄
1 矢 2 石 3 槍

戦国中期から末
1 鉄砲 2 矢 3 石 4 槍

 鉄砲が加わっただけで変化が無い。
 石は、投石に加えて攻城戦の時落とす石も入って居るのでは無いだろうか?投石部隊は武田軍の其れが有名だが、挑発したり敵陣を乱したりする役で、死因の二位、三位に飛び出る程の威力は無いと思われるので。
 いざ接近戦となれば槍、何たって槍。槍に(テレビや映画の様に)刀で立ち向かって御覧なさい、余程腕に差が無けりゃ、刀に勝ち目なんざ有りっこ無い!槍の後には棍棒や訳の分からん(鎌とか)武器が続き、刀なんざ末席で小さくなって居る。
 従って江戸幕府は鉄砲と槍には煩かった。槍を立てて往来を通れるのは、大名か旗本だけだった筈だ。権威の象徴との意も有っただろうが、武器としての能力を警戒して居たとも想像出来る。
 まともな合戦シーンを期待してはいけないのかなあ。長柄が叩き合い、矢がビュンビュン飛んで、槍の穂先を揃えた武者が迫って来る。予算の都合だか、やる気が無いのか、どっちにしろ、日本の視聴者は偽者漬けです。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

あくまでも娯楽だってのにマジレスとは