2009年7月4日土曜日

閑話 その二十三

FH000136

 

 南アルプス南部の山小屋は話にならないと言う人が結構居るが、あたしゃあ全く別意見なんで、ああでなくっちゃさあ、と思って仕舞う。変人閣下かな?
 何で話にならないか、飯は原則出さない(出しても粗末)、小屋は滅茶苦茶ボロい、便所は汚い、水場は遠い、親父はやけに威張ってる。
 そうだよ、あったりめえだろが!!其れが本来の山小屋なんだよ!山小屋の原形が残って居る貴重な場所なのだ、大切にするべし、なので有る。(やっぱあたしゃあ変人なのかなあ?)
 濃鳥小屋も評判は良く無い。メインストリートに有るから余計風当たりは強いのだろう。六年程前に泊まったが、全く問題無い小屋で有った。至極良い小屋で、文句を付ける奴の気が知れない。
 あたしゃ単独の時は、コーヒーはコンビニの紙コップ付インスタントだ。砂糖、コーヒーを用意しなくて良いのと、食器を洗わないで済むので、詰まりとことん不精を決め込む。
 濃鳥小屋にはインスタントコーヒーが有り自由に飲んで良い事になって居たが、あたしは自分の紙コップを飲んで居た。
親父「コーヒーなら其処に有るずらよ」
私「自分で持ってるから」
親父「あ、そうか。OKOK」
 何でも用意の良いのを喜ぶ。従って自炊でシェラフ持参と聞くと又喜ぶ。
親父「最近は何でも小屋に有ると勘違いする奴が多くて、危なくて見てらんねえ」
 とこぼすのだが、全く同感だ。遭難でも有れば真っ先に飛び出さねばならないのだ。儲からない上に、割りに合わない商いだ。危ない登山者を見てブツブツ言うのも無理は無い。
 高山裏(荒川三山の一寸と三伏峠寄り)では親父に一発かまされた。昼頃着いて、今日は早いが此処泊まりとしようと小屋の外で休んで居たら、大学の大パーティが来て幕営地へ向かい、水汲みの新人はザックを背に水場へ向かう、お馴染みの光景で有る。
 やがて数人の其のパーティの代表者に、親父がトイレと手洗いの説明を始めたので、あたしも一緒に聞いて居た。
親父「おい、何ニヤニヤして見てんだよ!」
 え、あたしかい?ニヤニヤなんかしてない。
私「今日は此処泊まりなんで、説明を聞いてんですよ」
親父「あ、そうか、お客さんか」
 で、矢張り素泊まりシェラフ持ちに喜ぶ。
親父「急に天候が変わって、小屋へ着けなきゃあどうなっちまうんだい」
私「全くねえ」
 案の定其の日は三時間程土砂降り、雷もゴロゴロの大騒ぎだった由。あたしゃあ誰も居ない小屋で昼寝の真っ最中だったので知らぬが仏、ふと目覚めると雨具の登山者で小屋は一杯、何だどうしたと驚いた。
親父「良く寝てたなあ、あの雷を知らないか」
私「全然知らない」
親父「はっはっは」
 何処が威張ってんだろう?極当たり前の小屋の親父としか思えない。其れが不愉快に感じる人は、本文でも書いたが、北アルプスか尾瀬に行くべきだ。あっちは立派に商売として成り立つので客扱いはとても良いから、きっと御満足頂けるでしょう。

2 件のコメント:

DOGLOVERAKIKO さんのコメント...

はじめまして。こんにちわ。しばらく、断りもなくブログを読ませていただいていました。イラストも、山の写真も素晴らしく、とくにこの南アルプスの縦走路の写真、北アルプス、、、前に夏になると通った山々の 澄んだ空気が感じられて、なつかしく、思わずみとれてしまいました。日本を離れて 20数年たちますが、日本の山が どんなに素晴らしかったか 写真を見て ため息をついています。これからもどうぞ、山歩きを続けられ、ブログも続けてください。今後も覗かせてください。わたしのブログは、(愛犬家、章子)で、DOGLOVERAKIKO.BLOGSPOT.COM です。よろしくおねがいいたします。

kenzaburou さんのコメント...

シドニーからようこそ!
そうなんです、日本の山は素晴らしいんですよねえ。
拙文に目を通して頂き、恐縮です。
DOGLOVERAKIKO.BLOGSPOT.COMを覗かして貰いました。映画がお好きで、ターミネーター迄熱く語られるとは、嬉しいなあ。
イラスト迄お褒め頂き、妻が喜んでおります。
宜しければこれからも偶に覗いて下さい。