2009年5月28日木曜日

休題 その十五

店 023

 

 暮れの風物詩と言えば何を置いても、べートーヴェンの交響曲9番合唱付。日本だけの習慣の様で、何だ馬鹿みたい、と思う人も居るのだが、あたしはバッチリ嵌って居る。
 十年程前、四年続けて聞きに行った。初年度は妻と二人で、日比谷高校OBを中心とするやつ。次年は矢張り妻と二人で東京フィル。三年目は、夫婦に次女が加わりN饗。四年目は夫婦に長女、次女、長男で同じくN饗。
 切符を取るには十二月では間に合わない。A席とかS席しか残らない。安くて良い席を取るには十一月初めから探して抑えて置く、此れがセオリーです。
 何で四年で終ったかと考えたら、其の頃から父のアルツが激しくなって来たと思い出した。詰まり呑気に第9を聞きに行く余裕を失ったのです。其れからは疾風怒濤の日々となるのだが、其れは別の話。 良い物は良いので、子供達も感動してくれたは嬉しくも有る。勿論N饗は文句無しで、東京フィルは指揮の歯切れが滅法良く、あたしは一番気に入った。
 で、一番面白かったのは初年度の日比谷高校OB中心の作品で有る。弦楽器とコーラスは見事で、素人とは思えない出来、「流石日比谷、よっ!」と大向こうから声を掛けたくなっちまう。
 考えたのだが、コーラスや弦楽器は家庭でも練習可能だが、木管、金管(詰まりラッパ)は練習する場所が限られて仕舞う。当然だ、部屋でラッパを(減音器を装着しても)吹き鳴らしたら、包丁を握った男がドアを蹴破って乱入して来るだろう。
 (以上はあたしの想像だけど)結果吹奏がヤバくて、初っ端からプハ~~と来るからこっちはビクッとする。おい、大丈夫か、頼むぜ、と手に汗を握る。
 自分が演奏しるんじゃ無いのに、ビクビクして聞いて居る。あ、音を外した、かすれた、と気を揉む。プハ~~と来ると息も荒く力が入り、確り頑張れ!と目を剥く。最早演奏者と完全に一体で有る。
 と、ビオラかベースが譜面台を倒した音が響き渡った。……。シナリオにしたらブーイングだろうけど、現に有るんです、そう言う事って。
 すっかりやつれて(感覚として)会場を後にしたが、今思えば最高に面白かった。日比谷高校OBの皆さん、怒らないで文を良く読んで下さい。好意を抱いているんですよ。(け、読んで無いや)
 演奏会は好きで,生の迫力はCDで再現は不可能。メーカーは再現をうたっているが、無理ですね(きっぱり)。
 演奏会で気に入らないのは、アンコールがしつっこい、あんなに何度も出て来るなよ、何か演奏してくれるなら別だけど。
 あたしの劇だってカーテンコールは一回きりで粋なもんだ。何度もやったら客が逃げ散るって?ご尤も!

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