2009年5月24日日曜日

休題 その十四

店 022

 

 古い朋友にANが居る。休題八で、ドア横に立って居て反吐の飛沫を浴びた二人のうちの一人で有る。もう一人はKJ、其の時の唖然とした二人の顔は未だに忘れない。ふっふっふっふ……。
 メタボの王様AN、は~どすこい男(失礼!)になって仕舞ったが、昔はキリリとしていた。諸行無常は世のならい、ですなあ。
 ANは柔道三段、それも講道館だった。ANに言わせると町道場の五段には相当するそうで、さも有りなんと思わされたのは、悪ふざけをして居た友人の一人が胡坐を掻いて居たANに襲い掛かった瞬間、一間程飛ばされて大の字に倒れており、ANはすっくと立って居る。
 何時立ったのか、何時投げたのか、見て居たのに全く分からない。目にも留まらぬ早業とは此の事、流石講道館三段と偉く感心し、ANの言葉が嘘では無いと知ったのだ。
 今は無理だろう、体を運ぶだけでも大儀そうなのだから。ANよ、体も身のうち、少し否うんと痩せようよ。(ちっ、読んで無いか)
 ANの御長男の婚礼に招かれて朋友連のYA(前出の一見ヤクザおじさん)、EM、あたし、KJは勤務の都合上代理に奥さんの四人、七年前位だったかな。
 朋友連にはもう一人NBが居るのだが、NBはANの奥方なので、此の日は主催者側で有る。
 何の間違いだろうか、我々のテーブルは新郎側の上座で、同席者は御長男の大学教授と高校の先生。後でANが言うには、「仕事関係は呼ばなかったので」、それにしても釣り合わない事夥しい。白鷺二羽に烏が四羽だ。
 案の定、酒が入った途端四羽の烏が騒ぎ出した。
YA「ね、皆で会社でも造らないか」
EM「会社ねー」
私「葬儀屋だな」
KJの奥方「良いかも知れない。此れから需要が増えるよ」
EM「ご祝儀が付き物よね」
YA「葬儀でもご祝儀ってえのか?」
私「そう、ご祝儀出さない奴には、焼き場で半焼きで引き出してやんだ」
一同「はっはっはっは」
 とてもじゃないが結婚式の会話とは思えない。ずーっとこんな調子で続いたのだ。同席の先生お二人もさぞ呆れた事だろう。ま、仕方無いさ、済んだ事だから良しとしよう。(勝手に?)
 AN夫婦はお孫さんに夢中と見受けられる。あたしなんざ未だ一人も居ないのに、羨ましい限りで有るが、夫婦揃って、は~どすこい(失礼)なので何とか生活を改善して、マトモな人になって欲しいのです。
 ANは昔から温泉好きで、平気で二時間は入って居た。今じゃ三十分で上がって仕舞う。体がもたないのだろう。この侭じゃ年上のあたしが二人の葬式に出席する事になっちまって、順序が狂うので良く無いですぞ。

2 件のコメント:

ガラパゴスの亀 さんのコメント...

 ま~ったく、周りが心配してもご本人達にはどうもその気が無いようで「長生きなどしなくて良い」などとのたもうているのです。長生きしなくてもよいけど、このままでは平均寿命にも遠くおよばないのでは?生活習慣病だから、kenzaburouさんと半年も暮らせばずいぶん改善されると思うのですが・・・
 あっ、それから「ご祝儀」ではなく「心づけ」です。

kenzaburou さんのコメント...

そうでした、心づけでした。

長生きしなくても良い、は本心でしょう。
打つ手無し、唯、お棺に収まらないんじゃないかと、其れが心配です。