閑話番外 その七十

　ご存じですか、ヒメサユリ。あたしは全く知らなかったのだが、知人に誘われて見て来たのです。

　ヒメサユリは日本特産のユリで、飯豊連峰、吾妻山、越後の守門山にしか自生してなく、絶滅危種に指定されて居るそうだ。どの山も奥深く、簡単にはいかないと思ったら、何と福島県喜多方市に、ヒメサユリの丘、と言う公園（？）が有ると言う。

　で、白河で高速を降り、延々と走って山の中、擦れ違いもやっとの道を登って行ったら、突然駐車場が現れ、車が一杯、係員が車を捌く為走り回って居た。

　驚いた。こんな山の中にこんなにヒメサユリを見に来るのか。こちとら其の存在すら知らなかったのに。

　公園入口には露店が軒を並べて居る。其の日が、ヒメサユリ祭りの初日だそうで、イベントの準備も行われて居た。

　園内は大分広い。木橋の一方通行で有る。成る程、初めてお目に掛かるユリが、斜面一面に咲き乱れて居る。所々に一寸と内部に踏み込める木橋が有って、写真を撮る人に便宜を図って有る。

　知人は喜んで居た。あたしも嬉しくは有るのだが、大体が“花より団子”ならぬ“花より酒“の間抜け者なので、心は露店に飛んで居る情けなさ。

　アスパラの一本揚げが美味しかった。アスパラったって、３０Cm位有るのだ。紫アスパラだそうだ。初めて聞いた。其れを素揚げして串に刺し、塩を振って出来上がり。アツッ、と齧るのだが、豪快に美味い！

　五時間も掛けて行った。帰りは六時間掛かった。で、アスパラの方が印象に残るんじゃ、駄目親父、此処に極まる、でした。