2013年5月6日月曜日

山の報告です その四十





 一晩中雪で有った。たまに、鉄塔に付いた雪塊がテントを直撃する。朝になっても雪。兎に角、上迄行こうと、アタックザックを背に出発する。Yはバッチリとオーバーミトン迄着けて居る。あたしも着けるべきだった、と思い知ったのは、後の事。
 藪と言っても、大した藪では無い。唯、日白山へは尾根の右に張り出した雪道を辿る、との思い込みが強かったので、藪?一体どうしたんだろう、となったのだ。
 じきに藪を抜け、疎林の斜面を登る事となった。二日前からの雪が、根雪の上に30cm以上も積もって居た。膝下のラッセルが続く。時々膝上のラッセルとなる。結構辛いもんが有る。
 風に吹かれ乍ら休憩だが、雪に塗れた手袋が冷たくて冷たくて、Yのオーバーミトンが羨ましいのだ。Yはホクホクして居る。
 雪は断続して降る。一面のガスで、景色なんざ見えっこ無い。尤も去年の稲包山の様な濃霧で無かったのは有難い。多少の見通しは効く。
 で、一昨年テントを張った東谷山に着いた。風雪とガスのみ。時間は早いし荷物も無い。日白山へ行くのは簡単だが、風に煽られてラッセルを続けて登頂しても、ガスと雪では何ともならない。其れに手が冷たいだけだ。
 あっさりと引き返しと決めた。テントが待って居る。今日も昼前から飲んだくれれば良いのさ。え、余りにだらしないって?仕方無いでしょ、お天気商売なんだから。
 下り始めて驚いた。風通しの良い所では、今付けて来たトレースが殆ど消えて居る。あと一時間近くで、完全に消えるだろう。春の重い雪でさえこうだ。粉雪なら一発だろう。
 下りのラッセルは苦にならない。どんどん下ると、一瞬ガスが切れ景色が見えた。カメラを出した時は、又ガスに覆われる処だった。そして、又雪になった。
 テント間近になった時、三人のパーティが登って来た。五、六十代だ。日白山ピストンとの事、地元山岳会の強みで有る。健闘を祈って別れ、程無くテントに着いた。未だ昼前なのだ。(続)

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