2013年5月18日土曜日

登山者満載 その二




 理由は偉く簡単で、釜トンネルが狭かったから、どうしようも無かったのだ。今は違う。素掘りの釜トンネルも確りしたトンネルになって、普通の大きい観光バスも通れる様になった。従って、当時のバスの狭さを知ろうとしたら、年寄りに聞くしか無いのだ。
年寄り「そりゃあおめえ、せめえの何のって、偉くせめえんだ」
 此れできっと、皆さんにも良く分かって貰えた事だろう。
 釜トンネルの怪談は随分有る様だ。新田次郎氏も作品に取り上げて居る。確かにそんなトンネルだった。昔の話だが、出口に雪崩除けが無かった。其処でやられたパーティも、有っただろう。
 積雪期に三度通った。何せ昔の事だから、素掘りで照明も無い。ご存知の通り傾斜が有って、曲がって居る。足元は、流れる水が凍ってツルツル。
 だもんで、釜トンに入る時はアイゼンを着け、ヘッドランプを点けて踏み込んだ。トンネルを抜ける迄気を許せなかった。あ、失言でした。トンネルの出口が雪崩っぽいんだから、離れる迄は一寸と嫌だった。
 えーと、怪談の話だったっけ。ま、好きな人はそっちで検索願います。無責任だって?そうなの、わたしゃあどうでも良い事には無責任なの!
 バスは行く。狭かった頃の釜トンを喘ぎ喘ぎ登って行く。車内の客は、余りの狭さに不満タラタラかって? ブーブーブー 皆寝てる。フン、他愛も無いこったぜ。ま、私もなんだけれどもね……。
 突然大正池、焼岳と穂高の山々。誰かが気付いて歓声を発し、全員が起きる。寝惚けた目に映る穂高!わーすっげー、最高じゃんかさあ!! 今も昔も変わらないですなあ。
 (登山者満載 その三へ続く)

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

お気楽な夏山と違って、冬は釜トンネルをアイゼン、ピッケルに、ヘッドライトをつけて通ったのですね。すごい!!!結構長いトンネルなのに、危険で、怖いですねー!それでは、お化けの住処になっていても、不思議ではありませんね!

kenzaburou さんのコメント...

昔の事です。
今は整備されたので、其れほどの事も無い筈です。
お化けは住んで居るかも知れませんが。