2013年5月20日月曜日

閑話 その百二




 最初の下りは急だ。高取山の特徴だろう。やがて尾根道となり、軽いアップダウンを繰り返す。下って居たら同年輩の夫婦が登って来た。其処は尾根筋の軽いアップでは無かった。でも、あと一寸とで何とかなる筈の、微妙な場所だったんだよね、此れがさあ。
夫「ずーっとこうですか?」
私「そう、暫くは」
夫「引き返そうかなあ(笑)」
私「でも、もう一寸とで緩みますよ」
 で、両夫婦は笑顔を交わして擦れ違った。こっちは良い、下りだ。あっちは急登で辟易してるんだから、さぞや辛かろう。あ、思えば彼等も山に登って居る限りは、そんなこたあ先刻ご承知の事柄ってっか。くっそー、余計な心配をしちまったぜ!
 妻も急激な下り(でも無いんだけど)には参った様だ。何たってリハビリの身だ。仕舞いには「あー、あー!」と叫ぶので振り返ると、斜面を走る様に下って来る。お、来るぞ、と身構えたら、木に抱きついて止まった。
妻「止まらなくなっちゃったの」
私「良く有るよ」
 と余裕をこいて見せたが、実は身構えたあたしの足元は唯の土の斜面で、妻がモロにぶつかって来たら、受け止められずに二人で転がって居ただろう。あー、やべえやべえ。下手すりゃあ、骨の一本も折る処だったぜ。
 妻はリハビリの身なのだもんで、そんな事も有ったってえ事なので、危険な山では決して無いのです。
 善波峠に着けば、後は吾妻山を経て、鶴巻温泉へ下るのみだ。
 あたしの好みの、質素な吾妻神社に拝礼し、持参のチューハイを飲む。此処迄来れば下りたも同然、飲み放題だぜ。
 処が妻は違った。吾妻山を出発したら、歩みが遅い。やっと下って居る。
妻「限界みたい。膝がガタガタ」
 もう町って所で限界を迎えたのは、何たるラッキー!!だって、そう言い乍らも、よたよたと降り切っちゃったんだから。あとは駅迄歩くだけ。
 てな訳で、ギリギリセーフのリハビリ山行でした。でも、リハビリになったのかな?なったに決まってると、思う事にしよう。

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

立派なリハビリですよ。ちょっと きついくらいの運動を繰り返すことがリハビリだそうです。でも、登りは楽しくて、下りは大変なんですねー。次回は、しょいごを持って行って、下りは奥様を乗せて降りてきてください。お願いします!!!

kenzaburou さんのコメント...

う、妻を背負子で……。
孫なら全く平気ですが(7Kg)、妻はご勘弁下せえ。おらの膝が壊れますだよ。