2012年7月10日火曜日

笹と唐松の不思議な関係 その二




 兎に角唐松林の姫次は、私にとって丹沢の欠かせない風景なのだ。詰まり、私の好みなんだけど、姫次を知ってる人にとっては、殆ど好む山になるに違い無いと、勝手に思って居るのだ。
 社宮司沢へ入ったのは二昔前、夏だったか秋だったか、忘れてもうたわ。確かキャンプ場から入った筈だ(其の入り方は多いので、違うかも知れないが、其れすら忘れてもうたわ)。
 惚けてる頭をシャッキリさせて、思い出すと、前半は淡々とした沢歩きだった。悪場は殆ど無く、やがてザレに突入し、其処からが大変だった。ガラガラが無闇と続き、木の根や笹、篠竹を頼りにひたすら登る、まあ、お馴染みの奴だ。今更驚く迄も無い。
 さて、傾斜が緩むと今度は笹が続き、ザワザワと笹をこいで居るとピークに達して、三角点が有った。ぴったり袖平山だ。三角点から登山道はほんの僅かな距離で、しかも踏み跡が有る。律儀にも三角点を訪れる人が居る証拠で有る。
 ピークを巻く道でも、必ずピークを踏まないと気が済まない人が居る。Kは其のタイプに属する人間なのだ。私は余計なアルバイトは一切避けたがるグウタラ人間なのだが、Kは違う。前日ピークを踏んで、肩に有る小屋に泊まっても真っ暗なうちから騒ぎ出す。鶏より遙かに早い。此の時は南アの鳳凰小屋で有った。
K「おう、ご来光を見に行くぞ」
 Kよ、勝手に一人で行ってくれ。
K「早くしろ、間に合わないぞ!」
 急かされて渋々支度をし、一時間も登り返す。無精者の私には飛んでも無い迷惑だ。其の上早く着き過ぎて、三十分も日の出を待つ。寒くて歯の根が合わなくなる。Kの馬鹿、やけに寒いじゃないかよ!
 其れでも日の出となると荘厳で、無理やり連れ出されてかった、と思って仕舞う単純な私なのだ。
 (笹と唐松の不思議な関係 その三へ続く)

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

落葉松の写真、素敵ですね! 山の好きな人でないと 落葉松にもなかなか会えないですね。「唐松」という字も「落葉松」という字も当て字でしょうが、大好きな樹です。

kenzaburou さんのコメント...

確かに、里で見る事の無い樹ですね。

あたしも、大好きな樹です。
新緑でも深緑でも黄葉でも、です。