2012年6月13日水曜日

閑話 その八十三




 写真は姫次から望んだ蛭ヶ岳です。
 主脈の黍殻山は、1272,8mのなかなか目立つ山だ。縦走路は頂上を巻いて居るので、登った事が無い人も多いだろう。ひどい目大会2に有る通り、五十年前には切り株の山だった。今では樹林の山だ。
 実はあたしもピークを踏んだ事は無かった。唯、西へ延びる尾根は気になって居て、登る機会を窺っては居た。其れが間抜けな事から実現した。間抜けも、悪いばかりじゃ無い。
 青野を通るバスは、朝と夕に一本ずつになって、どうし様も無いとは前に書いた。従って車で青野へ入った。主脈に上がって、袖平へ行くつもりだった。
 例に依ってあたしの地図は古い。一番新しい地図を持って行ったのだが、六年前のものだ。山は全く問題無い。麓が変わるのだ。で、マンマと新しい道に引き込まれ、浄水所(勿論地図には無い)に着いた。
 横から尾根へ取り付けそうだ。何、何処から入っても主脈に登れるさ、と気楽に登り始めた。もう、今更断るのも面倒臭い程の好い加減さは、我乍ら呆れる。
 八丁坂ノ頭への尾根のつもりだったが、何時迄も路に出ない。かろうじて踏み跡らしきものは有る。ひょっとするとひょっとするぞ、と唯々登ると無人雨量計に着いた。黍殻山だった。
 思わぬ遠回りをしたので、袖平は止めて姫次を目標とし、八丁坂を登って居ると初老の夫婦を抜いた。開けて気分の良い姫次でおにぎりを食べて居ると、其の夫婦が現れ、旦那は手を広げて言った。
旦那「おー!此処が」
私「そう、姫次です」
旦那「では、ひょっとしてあれが」
私「蛭ヶ岳ですよ」
 オーバな程驚いたのは、突然景色が開けた事と、僅か三分位の所に、東海道遊歩道最高地点の看板とベンチが有って、其処で休んで仕舞った悔しさが有っての事だそうだ。
 夫婦は蛭に向かった。ピストンして下山するのだ。何と気力の有る事よ!あたしなんざ弁当が終れば、さっさと下山するのだ(恥)。
 で、さっさと下山しました。根性無し!林道に降り着いて暫くいって、単独の中年男性を抜いた。さて、あたしは浄水所の車へ戻らねばならない。青根に入ったが、其の道が分からない。車が来たので止め、道を教わる。
 分岐を行き過ぎて居たのでバックして行くと、単独男性が来て、あたしが戻って来るのを見てギョッとして立ち止まった。
私「青根はこっちで良いですよ。私は別へ行くんで」
男性「そうですか」
 彼はにっこりとした。気持は良く分かる。先行者が引き返して来るのは、間違えたにほぼ決まって居るのだから。ドジのお陰で、気になって居た尾根を登れた話でした。

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

なるほど、なるほど、丹沢の山々は奥が深いですね。まだ 歩く機会がなくて気になっている尾根が たくさんあるのですか??? 山のすそまでの運転も危ないでしょう。気をつけて 遊んでください。

kenzaburou さんのコメント...

はい、気になっている尾根が20本以上残っています。遣り残して死ぬのでしょう、きっと。

ご心配有り難う御座います。昔の様な無茶な運転はしなくなりましたので、ご安心下さい。