2012年4月8日日曜日

体中がつった! その四


 八海山の小屋で、中ノ岳へ向かう登山者が集められた。レクチャーである。暑いから、兎に角早く発て、舐めるな、標高差800mをアップダウンする、しかも尋常じゃなく暑くなるんだから、気を付けるんだ!私は、軽く頷いて聞いていた。
 そうです、その通りです、私は舐めていま
した。約二昔前だったので、若気の行ったり来たり。今なら、絶対舐めたりしない、死んでも舐めない!自分を知ったから。
 翌朝、超ド快晴。(超ドが付く、超ド級で
す)皆さんが出発してから、のこのこ出かけた。馬鹿は死ななきゃ直らない。鎖場の連続を越え、どんどん下って、皆さんに追いついたのは、オカメ覗き。最低鞍部で有る。普通鞍部は風の通り道。
 処がどうした、セオリーに反して、か、風
が無い。其れも、そよとも無い。普通は、そよ位有って然るべき地形なのだが、無い物は無い。絶対無い。
 蒸すなんてもんじゃ無い、ここは蒸し器の
中か!と感じたのは、相当参っていたのだろう。ふん、すぐ追いつくさと、飛ばしたもんね。ここからの登りはひどかった。ひどい目大会の名に恥じない。立派で有る。
 どうしたんだ、何故こんなに汗が出る、他
の奴等は何故俺を引き離して行けるんだ、おい、有り得ないだろ。おっさん、おばさん、何でどんどん行けるんだ、おい、間違えてんじゃ無いのか、どしたってんだ!(当時は、そんな気持ちだったんです。今思えば気がおかしい)変だ、足が進まない、どうした、糞、ぐ、ぐるじー……。
 自業自得だ、思い上がりの報いだ!

 歳だし、心がけが悪かった。それ迄は未だ、
我に追いつく敵機なし(知ってますか、この電文?)、の残滓が心の中に残っていたのだろう。この日からは、我が追いつく敵機なし、に変わったのだ。歴史的な日であった。
 ……
嬉しい、とても、嬉しい。ワーテルローの一日に匹敵する日なのだと考えよう。
 (体中がつった! その五へ続く)

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

歳を取ると心に疚しい事があれば胸が痛み、ちょいと歩くだけで股がツル。でも不可思議なのは筋トレなどの後、3日後位に筋肉痛が起きるのです。此れは老化に他なりません。
 風邪をひか無くなったのです。3昔前に風邪を引き一週間たっても直らないので再院して「子供は1~2日で直るのに長引くのは何故ですか?」と聞いたら「免疫の所為」で納得し其れ以来「風邪を引いた」は欠勤の理由のみでインフルのワクチンも打たず引く事もありません。
 此れはある統計的調査ですが西洋なのでシャワー文化でのものです。毎日浴びる人と週一位の人を比べるとインフルエンザ感染率が、1:20・・・ さらに石鹸を使うと感染率は50倍になるらしい(あくまで免疫学+統計学:あまり信用するとストレスが溜まるので温泉にでも行きゴシゴシとすれば好い)のです。
悪戯っ子でした

kenzaburou さんのコメント...

悪戯っ子さん

そうです、翌日筋肉が痛くなるのは、若さの特権です!
そういえばあたしも、風邪を引かなくなりました。此れも年の所為だったんですね。