2012年1月3日火曜日

休題 その八十二


 ガス抜きの絵本の章です。勝手に書くので嫌な方はスルー願います。
 あ、其れと時節柄ハッキリしておく必要が有るのは、あたしはシーシェパードは認め難いと言う立場(考え)です。

 南氷洋の大海原を夫鯨と妻鯨が泳いで居ます。前になり、後ろになり、二頭は餌を取りながら大自然の中を悠々と楽しく泳ぎます。
 たまに息を吐くと、高く水飛沫が吹き上がり太陽の光にキラキラ輝くのです。
 去年産んだ子鯨は立派に独立して、今の二頭は次の出産迄の、一番ほっとした時期です。
 妻鯨は、平らべったい大きな氷山の下を潜ります。夫鯨は心配そうに見て居ますが何の心配も無く妻鯨は氷山の向こう側に出て大きく息を吐きました。
 其の瞬間に背中に銛が打ち込まれました。キャッチャーボートが狙って居たのです。妻鯨は背中に焼き付く様な痛みを感じたと同時に、体を引っ張られました。
 妻鯨は必死に逃げようとしましたが、銛は体の中で開いて外す事なぞ出来ないのです。妻鯨は気付きました、捕鯨船に捕まった、此れで終わりだ……。
夫鯨が血相を変えて近寄って来ます。妻鯨は叫びました。「早く逃げて!貴方も撃たれる」でも、動転した夫鯨には聞こえません。夫鯨は妻鯨の周りをオロオロと回って居ます。妻鯨は何度も叫びました。「早く逃げて!貴方も撃たれる!」
 夫鯨の背にも銛が打ち込まれました。流石男鯨です、猛然と暴れますがキャッチャーボートが上手で、ロープを緩めたり引き寄せたり、暴れれば暴れる程夫鯨は弱って行きます。
 妻鯨は自分の痛さ辛さも忘れ、夫鯨に何とか近寄ろうとしますが、出来ません。銛は確りと食い込み、其の上妻鯨が夫鯨に気を取られて居るうちに、三本も銛を打ち込まれて居たのです。
 それでも夫鯨に近づこうと必死に虚しい努力をしましたが、叶う筈は有りません。でも、どうしても死ぬ前に夫鯨と言葉を交わしたかったのでした。
 暴れる夫鯨にも更に銛が撃たれて居ます。一瞬空中に飛び上がった夫鯨と目が合いました。夫鯨は憤怒と悲しみと慈しみの目をして居たと妻鯨には分かりました。何か叫んで居たけど、残念にも聞き取れません。
 夫鯨は其の侭引きずられて、見えなくなりました。妻鯨も意識が消えかけて居ます。
 妻鯨はたった一言を夫鯨に伝えたかったのです。自分が死ぬのは仕方有りません。夫鯨が死ぬのも仕方有りません。此れは生有る者の必然です。状況はどう有れども、そう言うものだと妻鯨は本能的に知って居るのです。
 妻鯨が夫鯨に伝えたかったのは「さようなら」の一言だったのです。
 妻鯨の意識は其処で途絶えました。氷山は何事も無かった様に、日の光に輝いて居ます。

 絵本にしちゃあ暗いって?うーん、あたしの中では違うんだけど……。

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

わたしもシーシェファードは嫌いですが、野生の動物を捕まえて食べることに賛成できません。家畜を食べることや 鮭や鱒を釣って食べるのと、野生の大型動物を食べるのことは全然ちがうことだと思うのです。
象やサイの角のために殺すことも、胆汁を取る為に熊を殺すことも賛成できませーん。

kenzaburou さんのコメント...

仰る通り、像やサイや熊を殺すのは、全く賛成しません。従って、マタギなら仕方有りませんが、ハンターは嫌いです。
大型小型に限らず、動物の命を楽しみで絶つのは、好きでは有りません。

唯、難しいのは、丹沢では保護の結果鹿が増えすぎ、農業や林業の大きな妨げとなり、あたしの嫌いなハンターが動員され、駆除を行って居ます。

鯨もある程度に抑えないと、魚を食い尽くす可能性は否定出来ません。中国人の様に。

因みに、あたしは鯨は大好きです(食べるんじゃなくて)。