2011年10月16日日曜日

休題 その七十六


 黒澤明の「8月のラプソディ」を見たのだが、あらゆる事が解決せずに、突然嵐の中、傘を吹き折られ乍らも進んで行くお婆さん、其れを追う家族、で、エンド。
 な、何だこりゃあ!!リチャード・ギア迄
引っ張り出して、訳分からんもんを良くぞ造ったな黒澤君。
 テーマの原爆については全く同感で、前述の通り、前は年に一度は仁王立ちになり、「
アメリカの馬鹿野郎!!!二つも原爆を落としやがって、何が人道に対する罪だ!!罪が有るのはお前だ、馬鹿!!!」と叫び狂い、家族は逃げ散る有様。
 処が翌日、仕事で原チャリを走らせて居たら、突然其のラストシーンが脳裏に浮かび、
同時に強い感動に襲われ、涙が出て来た。ついでに鼻水も。
 そうか、彼はあのシーンにテーマを凝縮したんだ。ストーリーは二の次で良いのだ、と
泣き乍ら勝手な解釈をした。
 舞台じゃ無い。映画で後で効いて来るなん
て、そう滅多矢鱈に有るもんじゃ無い。感動の余韻が残るのは多いだろう。併し、観た時は何だ?と思って、後で感動が襲って来るってえのは珍しい。
 良い舞台ではまま有る事だ。
 黒澤明に対する評価の日本と外国の差異は
甚だしい、とは良くあちこちで読む。勿論日本での評価が非常に低い、と言うのだ。
 昔々は、稲垣浩、小津安二郎、溝口健二、深作欣二、木下恵介、市川昆(変換不能なの
で近似値です)、川嶋雄二、等々と錚錚たる名監督が揃って居たので、其のうちの一人位にしか思わないのだろう。
 世界の黒沢と称されて居るだけの事は有り
そうだ(え、偉そうにだって?済みません)。もう一度各作品を見直して見よう。隠し砦の三悪人以外は余り面白かった印象が無いのだが。此の歳になれば見方も変わるでしょう。

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