前の表尾根の章で、三ノ塔左の凄まじいガレを登ったと大人気も無く威張ったが、YとZの三人で、横一列で這い登ったとも書いた筈だ。(あ、YとZには触れて無かったかな)
威張っても当然です。見れば分かる、一目で分かるので、説明は不要なのだ。
三ノ塔から下り始めて左を見下ろせば、ぞっとするガレで、其処を這い登って来たのだが、本当に登ったのかなあ、としか思えない。どうやったんだろう?もう出来っこないし、絶対にしない。
ヒゴの沢の詰めだった。入り口は堰堤がず―と続き、丸で苔むした堰堤登りに来た按配だったが、やがてガレに飛び出し、それもどんどん急になって行く。と、岩のギャップで行手を遮られた。左右には逃げ道は無い。
パーティの強みはこういう時に発揮される。Zが両手を組み合わせ、私が其処に足を乗せて、ぐっと持ち上げて貰い、上に這い上がれた。単独だったら、途方に暮れた事だろう。
人の心理とは面白いもので、急なガレのギャップを越えれば、傾斜が緩むだろう、と意味も無く期待するのだ。勿論現実は厳しい。先には相変わらずの急斜面のガレが続いて居るだけなのだ。
私は足場を固めて、YとZを引き上げる。二人共傾斜が緩むだろうと思って居たので、先を見てガックリした、と後で聞いた。そうでしょうとも。同じ状況では、同じ様に感じるものなんです。
其の先がザレとなり、傾斜も凄まじくなって、横に展開して必死に這い登った。横に並のは落石と落人(?)に巻き込まれない為なのだ。酷い話だが、本当にそう言う場所なので、仕方が無い。
ま、無事で良かったの一言です。
登ってから小屋で休んだのだが、Zは登りに強くても寒さに弱い。上等のゴアを着込んで居るのに、一人で震えて居る。まあ、戸が壊れて居る頃なので、風は吹き放題では有ったのだが。
(無敵の縦走路 その四へ続く)
2011年10月5日水曜日
無敵の縦走路 その三
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4 件のコメント:
文字通りの無敵の 命知らず:K,Y,Z 3人組みの活躍でしたね。3人そろって、帰ってこられなかったかも知れないですね。組んだ腕を 踏みつけて登り壁を越え、残った者を引きずり上げる、、、!すごいですね。すごいですね。ザイルは組みようがないし、素手でしょう?
そうです。手を差し出して引き上げるのです。
よくぞこんな所を登ったもんだ、と通るたびに思って、ぞーっとします。
悪戯っ子です
素人の質問があります。
ガレ、ザレって良く判りません。こう聞けば、じゃあ今度一緒に行こうといわれるのを覚悟して書いてます。
何となく、ガレは風化した岩場。ザレは風化が更に進んで砂状かなと思います。
いずれにしてもハイキング気分で参加したら非道い目になりますね。
悪戯っ子さん
ピンポーン、当りです!!
ガレは岩屑や小石の斜面、ザレは砂状の斜面です。
沢登りで一番事故を起こして居るのは、滝では無く、ガレ場なのです。
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