2011年8月17日水曜日

閑話 その七十一


 積雪期に行きたい山域を、山と渓谷や岳人のバックナンバーを神保町で漁って調べると、書いた。今はネットで検索出来るので凄く楽だとも書いた。
 従って我が家には古い山岳雑誌が結構有る。
引越しの時相当処分したが、未だ有る。
 昔々の山と渓谷は、山の怪談を連載して居
た。読者の投稿となって居たが、作り物も有るかも知れない。当時の編集者に聞けば分かるだろうが、面倒なんでやらない。
 或るパーティが谷川岳の小屋に着くと、中
に以前遭難死した仲間が座って居る。
「直ぐ降りろ。嵐になる」

 其の言葉を残して彼は消える。パーティは
一気に下山し、入れ違いに数日に亘る大嵐がやって来た。
 と言った話で有る。本当でも嘘でも、読ん
で居て楽しかったのだから、全く文句は無い。今なら、そんな企画は潰されるだろう。大体定番の四谷怪談が、テレビで上映されなくなった。理由はオカルトチックだからだそうだ。
 ふーん、普段ご立派な番組を造ってるからね。

 話を戻す。怖かったのは、確か高校生の三
人連れが奥多摩を下り始めた(何処だか忘れた)。幾ら下っても麓に着かない。何故だ?何時間も時間が空転してる様なもんだ。
 其のうち日が暮れた。と、突然路が分から
なくなったそうだ。広いしっかりした路なので、普通日が暮れたって分かるのだ。
 で、一人が路を探しに進むと、絶壁の上に
出たそうな。ぎょっとした彼が前を見ると、真っ青な顔の女性が数メートル前に立って居る。勿論浮かんで居る訳だ。
 悲鳴も上げられなかった。必死に走ろうと
しても脚が動かない。そうでしょうとも。這って仲間の所へ戻っても、後ろを指差すのみで、説明も出来なかったらしい。
 それからはすっきりと路に出て、直ぐ麓に
着いた。失われた時間は?
 一寸と夏らしい話をしました。

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