積雪期に行きたい山域を、山と渓谷や岳人のバックナンバーを神保町で漁って調べると、書いた。今はネットで検索出来るので凄く楽だとも書いた。
従って我が家には古い山岳雑誌が結構有る。引越しの時相当処分したが、未だ有る。
昔々の山と渓谷は、山の怪談を連載して居た。読者の投稿となって居たが、作り物も有るかも知れない。当時の編集者に聞けば分かるだろうが、面倒なんでやらない。
或るパーティが谷川岳の小屋に着くと、中に以前遭難死した仲間が座って居る。
「直ぐ降りろ。嵐になる」
其の言葉を残して彼は消える。パーティは一気に下山し、入れ違いに数日に亘る大嵐がやって来た。
と言った話で有る。本当でも嘘でも、読んで居て楽しかったのだから、全く文句は無い。今なら、そんな企画は潰されるだろう。大体定番の四谷怪談が、テレビで上映されなくなった。理由はオカルトチックだからだそうだ。
ふーん、普段ご立派な番組を造ってるからね。
話を戻す。怖かったのは、確か高校生の三人連れが奥多摩を下り始めた(何処だか忘れた)。幾ら下っても麓に着かない。何故だ?何時間も時間が空転してる様なもんだ。
其のうち日が暮れた。と、突然路が分からなくなったそうだ。広いしっかりした路なので、普通日が暮れたって分かるのだ。
で、一人が路を探しに進むと、絶壁の上に出たそうな。ぎょっとした彼が前を見ると、真っ青な顔の女性が数メートル前に立って居る。勿論浮かんで居る訳だ。
悲鳴も上げられなかった。必死に走ろうとしても脚が動かない。そうでしょうとも。這って仲間の所へ戻っても、後ろを指差すのみで、説明も出来なかったらしい。
それからはすっきりと路に出て、直ぐ麓に着いた。失われた時間は?
一寸と夏らしい話をしました。
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