今は皆さん歩かないだろう。車を使うに決まって居る。登山口の駐車場も完備されてるだろうし。え、縦走して来たらどうするって?決まってだろが、TAXIを呼ぶよ!
そう思うとあの時、嫌になり乍らも歩いて置いて本当に良かった。今となったら再現不可能なのだから。それも、体力的にも気力的にもだから、絶対無理って事だ。
下りの章だった。ダラダラ下る章では無いのだ。
空と雲の章で、北穂高を尻セードで降り掛けた話をした。Iは下り始めの時の余りの急斜に危険を察知して、ストップが効いて止まり、暫く下ってから再度尻セードを開始したのだ。
ま、グリセードじゃ無いので、格好は悪いですよ。でも、私じゃ無くR大学の所為ですからね、此処ははっきりして置きます。
尻で滑るスキーと同じなんだが、違いは抵抗が大きいのでスキー程の速度は出ないだろうと言う事。もう一つの違いは角度で、下手すると四十五度を越えて居る。通常に見れば絶壁状態なんだが、経験の無い人には分からないでしょうねえ。
其処を脚を上げ(アイゼンが雪面に引っ掛かるのを防ぐ)、ピッケルで方向の修正をし乍ら滑り降りて行く訳だが、あっと言う間に涸沢へ降り立った。あんなに苦労して登ったのが嘘の様だった。
何処でも使えれば楽なのだが、相当の斜面で無ければ滑らないので、余り尻セードを使用する機会が無いのが残念で有る。下手な所でやったら、どっかへ落っこちて、即お葬式なのだ。
以上はあくまで大昔の事で。今はそうは行かないとは、山の報告の通り。
春にYと、上越の中ノ岳から越後駒へ抜けた事が有る。十年も経ったかなあ。
中ノ岳の少し下で幕営し、翌日は越後駒を超えて、小倉山に着いたのが丁度昼の十二時だった。うん、此処で幕営だ。するとYが
Y「未だ昼だよ。下っちゃおうよ」
知らないとは恐ろしい。此処からは息も吐かせぬ下りが続くのだ。早く小倉山に着いたのは早く出発したからで、もう充分に歩いて居る。とてもじゃ無いが、下り切れっこ無い。
私「先は長い。此処で幕営だよ」
翌日に其の判断の正しさが証明された。下り疲れたYは、膝が笑い出した。それもモロに大笑いだ。脚を思う所に置けず苦労して居る。此れが昨日だったら、行動不能だ。
幕営可能な地点なぞ何処にも無い、下りっぱなしの尾根なので、テントを被って一晩を明かすの、一手だった。桑原桑原。
下りは馬鹿にならない。詰まらない事故も圧倒的に下りに多い。普通は、登った分は下らなきゃならないのだ。お互い、下りの余力は取って置きましょうね。
2011年8月14日日曜日
下りは辛いよ その四
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2 件のコメント:
普通のピステには、45度は作りませんがスキーヤーも尻制動は得意だと思います。ピッケルの代わりにストック。アイゼンじゃなくスキー靴。
でもこの危うさはウエアが何かで決まりますね。何せウエアはツルツルの素材が多く良く滑る上に尻には自分の脂肪だけがクッションな訳です。白馬のピョンピョン平らで先ず無理ですね第二ケルン辺りのカール地形がいいかもしれません。でも下まで行っちゃうとコースに戻るのに一時間はかかりますね。友人のT.Kは青氷でカランとこけて下まで行きました。「馬鹿やろー」と呼んだら手だけ振っていたので一安心しました。 悪戯っ子拝
はっはっはっは、スキー屋さんはアホらしくて尻セードなんてやらんでしょう。
たまたまTK氏の様に、やらざるを得なくなっても、巧くなる事でしょう。(現にやったらしいし)
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