2010年2月28日日曜日

閑話 その四十四

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 イラストは既出で失礼。でも随分前だから、良しとしよう。
 低いけど辛い山一の写真だが、ぼやーっととした構図で、しかも何処にもピントが合って居ない。
 其の訳を述べよう。構図は仕方無い、腕とセンスの所為なので(汗)。
 高山裏小屋の三十分程手前に水場が有る。不精なあたしには又水を汲みに戻るなんて有得ない。ポリタンを二本取り出し、ザックは立て掛けて置いて水を汲んで居たら、どさっと音。見るとザックが転んで居た。
 其れは構わない。構うのは、無精者が口を閉めて居なかった為、カメラが飛び出し岩の上を落下して行く事だ。
 ヤバイ!と追いかけ、首尾良く拾ったが、レンズが歪んで無限遠が出なくなって仕舞った。しまった……。
 それでも一応写る事は写るので、半年程は使って居たが、やがてフイルムが巻き上がらなくなっちまった、とほほほほ。
 新宿のニコンへ持って行き修理をして貰ったのだが、ガタガタになって居たそうで、係員に呆れられて仕舞った。あんた、カメラは一応精密機械なんだよ、分かってんの?ってな目つきだった。ふん、あたしゃあどうせそう言う奴なのさ。そっちだってプロだろう?見りゃ一目で分かりそうなもんだ。
 じゃあ何かい、ちゃんと写らなくても、写りさえすりゃあ良いって事かい?そう聞かれれば、いえ、ちゃんと写る方が良いです、と答えざるを得ない。ただ、不精者(前に聞いた!)なんで、直しに行くのが面倒だし、そのお、命に関わる訳でも無いし。
 自分で思う、駄目だこりゃ。分数の計算が出来ない奴に微分を説く様なもんだ。徒労、無意味とは此の為の言葉だ。
 此の手の馬鹿(あたしの事)には何と言ったら分かり易いだろうか。こんなのはどうだろう。
「全身反吐塗れでも、命に関わらないからと、町を歩くのかね?」
「成る程、多分其れはしないと思う」
「分かってくれて良かったよ、お馬鹿さん」
 自作自演は此処迄としよう。此の年の冬山の写真も、ピンボケ大会、そりゃあ悲しい思いはしたけれど、其れ程の打撃では無かったのは、首尾良くピークを踏んで帰れたからで、山の成功の方が写真より桁違いに比重が大きいからだろう。
 あれから十年、又レンズが少し歪み始めた気がする。今のうちに直しておかないと、技術者が居なくなったら大変だ。ん、デジタルでもレンズは同じか。では、もう暫く様子を見るとしよう。命に関わる訳でも無いし(分かって無い!)。
 で、期せずして、其の時期の名残の一枚が載ったのです。
 でも、何でわざわざデーター化したのかは、我乍ら意味不明なのです。

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

素晴らしいイラストですね。
こんなレンズでは、どんなに重いか と思います。マニアで 欲しがっている人が沢山いるでしょう。
低くても苦しい山の写真、焦点を絞っていないのですか。春先(?)の丹沢の青々とした山の尾根がずーっと続いていく姿が 美しくてとっても良い写真です。ニコンのレンズがそんなふうに歪むということがあるのですか。知りませんでした。落としたり ぶつけたくらいなら 大丈夫と思ってました。オットの昔のレンズは管理がわるくてカビでやられました。いったんカビが生えると掃除できないそうですね。どうぞ、大事にしてください。

kenzaburou さんのコメント...

イラストをお褒め頂き、妻が狂喜乱舞すると思います。

岩に跳ね乍ら落ちたので、流石にいかれました。

あらー、カビにやられましたか。取れないそうですね。カビの奴はレンズが好物なのでしょうか。惜しい事をしました。