2010年2月11日木曜日

色付くダイヤモンド その四

FH010024

 

 黒部五郎の山頂は此の世の天国。色付く北アルプスの山々が真っ青な空の下、見渡す限り展開して居るので、息を呑んで仕舞うのは私だけでは無い筈だが、残念乍ら其の景観に接したのは、其の日は私と九州の男性のみ。(本当はもう一人遠く姿を見かけたが、其れには最早触れない約束)
 尤も、外の日にこんな素晴らしい景観が有ったとは思えない。冷静に判断しても決して有り得ない。何せこっちは前線通過の翌日なんだもんねー(此処で意味無く威張るのが、ガキだとは知ってますけど、つい……)。
 山頂で男性と私は挨拶を交わして別れる。彼は三俣蓮華へ、私は太郎平へ向かう。前述だが、一期一会です。
 太郎平の小屋でビールを買って飲んで居たらチューハイが有った。げっ、チューハイにすれば良かった。ま、どうでも良い事。
 翌日も快晴。どんどん下りた。何せ一日一本のバスに乗らねばならない。せっせと頑張った結果、バスを一時間待つ羽目になっちまったが、文句を言ったらバチが当たる。其のバスのお陰で此のダイヤモンドコースをやれたのだから。
 其れがですよ、乗客は二人だけ。バスから降りた人は三人だったかな。シーズンから外れて居たからだろうけど、此の按配では否応も無く再び廃止路線となるんじゃないだろうか。あの時行っておいて良かった!
 三昔前に此処でバスを降りた時は満員だった。夏だったからかも知れないが、登山者の絶対数が多かったのだろう。
 太郎平へ登って居ると、黒カッターに黒ズボンの女性に抜かされた。歳は当時の私と同じ位(三十一歳だったかな)の彼女は颯爽と登り、グングン離された。キスリングの荷物がハンデだが、クソッ(失礼)、女に負けて堪るか、と頑張ったが、完敗で有る。当時は未だそんな意地を持って居たんですなあ。
 因みに、山では勝ち負けは無い。若かったので、そんな頓珍漢な思いを抱いたのだ。
 折立のバスに戻ろう。乗り込んで三時間、終点の無人駅で小一時間電車を待って、地鉄で富山へ着く。立ち食いの立山蕎麦(富山の定番で、美味しいですよ!)を食い、ビールを買って列車に乗り込む。下山してから始まる旅なのだ。良いもんでしょう、一仕事を終えた列車の旅。車で来てちゃあ味わえないのです。其の上、車だとビールも飲めない。此れは完全な致命傷で有る(くどいですか?)。
 バス路線の話だった。つい、入れ込んで仕舞ったのは、余りに素敵な山旅だったからなので、大目に見てやって下さい。(ペコリ)
 昔は橋本から東野へ直通でバスが行ったと記憶して居る。何時からか、三ヶ木で乗り換える様になって、其れも廃線になったのが数年前。日に何本かは有るけど、通学用時間帯なので、登山には不向きだ。此れまで無くしちゃあ子供達が学校へ通えなくなってしまう。
 (色付くダイヤモンド その五へ続く)

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

すごい写真ですねー。左は鷲羽岳ですか?
こんな ながめでは、立ち去りがたいでしょうね。

kenzaburou さんのコメント...

鷲羽岳は槍の向こうなので、多分違うと思います。
あたしも初めて見た景色なので、何とも言いがたいので、恥です。

立ち去りがたいのは確かです!でも行かなきゃならないので、九州の男性と挨拶を交わして去りました。

人と別れる方が、悲しかったのです。