2009年8月16日日曜日

ふらっと寄り道一ノ倉岳 その二

FH000055

 

 思えば、そのやり取りが完璧に刷り込まれてしまったのだ。声をかけてくれた人が悪いのではないのは、言う迄も無い。私が至らない事夥しい。
 雪を登り始めたが、やけに傾斜がきつい。と、突然壁になった。しかも壁と雪はそっくり返って、大きく間が開いている。え、地図と違うじゃん。緩やかな沢なんだろう、芝倉沢は!一体どうなっちまったんだろう。
 おいおい、好い加減気づけよ、地図は何の為に持ってんだよ。丸で三ツ峰の馬鹿ップルじゃないか。あ、彼等の事を馬鹿にできなくなってしまった……。
 思った、そうか、雪が多ければ登れるんだ、五月じゃ雪も融けるよな。よし来年四月、雪の多い時期に再チャレンジだ!……本当に浅はかです。
 翌年四月、浅はか者が再び新前橋で蕎麦を食べて、土合に降り立った。土合に登ったと言うべきかな?どっちにしろご苦労な事である。
 此の年も雪を踏んでせっせと歩き、幽ノ沢を越える。さて、いよいよ芝倉沢だ。今年こそやるぞー!
 登るにつれ斜面は急になり、またもや壁になってしまった。左右を見ても壁だ。何でだろう?
 おまけにカメラまで壊した。諦めて下る前に写真でも、と思いカメラを出したら落とした。当時はバカチョン(固有名詞)を使っていたのだが、それが締まった雪面を跳ね飛びながら落ちる。慌てて追いかけ、大分下で雪渓の隙間に嵌ったカメラを拾い上げたが、死んでいた……。
 もう読めましたか?そう、堅炭沢だったのだ。地図に記載は無いが、案内書を読み直してその存在を知った。己の馬鹿さを、思いっ切り罵ってやりました。
 翌々週、三度(たび)馬鹿なあたしが土合に降りた。いっそ定期券でも買え、馬鹿!一寸と待って、考えれば馬鹿はひどい。二年かけたとはいえ、気がついたんだから、せめて、元馬鹿と表現してやろうじゃないか。(自分に甘くて失礼)
 今度は見事(?)に芝倉沢に入れた。地図通りの沢で(当たり前だ!)、心配していた雪庇も無く、無事に稜線に立てた。元馬鹿は三度目にしてやっと踏めた一ノ倉岳に感激していた。万歳、万歳、万々歳!
 書いていて、我ながら何とかなんないの?と思えてしまう……。
 とはいえ、この日は山を独り占め、一ノ倉岳にツェルトを張って暮らした。若い癖に贅沢な山登りでしょう?天気は最高、強風も最高でルンルン(エーン)。ツェルト内で煙草を吸うと煙が、風の当たる衝撃で細かくビビビと震えるのだ。結構面白い見もので有る。 (ふらっと寄り道一ノ倉岳 その三へ続く)

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

雪山のツエルトのなかで、強風にあおられていると、タバコの煙が 風の当たる衝撃で 音をたてるのですね。大きな声をだしても 同じように ツツツ と音をたてるのでしょうか。顔が冷たいでしょうね。 

kenzaburou さんのコメント...

えーと、済みません、煙は音をたてるのではなく、細かく振動して線模様を描くのです。描写が下手なもんでご容赦下さい。
冷たさを言えば、足とお尻です。薄いマットで雪と接していますので。