2014年8月13日水曜日

死ぬほど旨かった桃の缶詰 その七






 桧洞丸は展望が無い。蛭ヶ岳もブナの樹越しに見える。北面に一寸と下って見よう。一気に展望が開ける場所が有るのだ。正面に富士、その手前に畦ヶ丸、菰釣山の相甲国境の山々、右手には大室山。写真は、中川権現山だ。おー、と喚声の上がる処だ。知らない人もいるようなので、老婆心ながら、書いておきます。
 そこから下るルートは、熊笹の峰を経て、犬越路に至る訳だ。結構アップダウンが有る。凍っている時は苦労させられる(前述)。でも、最近は鎖もかけられ、昔よりはずーっと安全になっている。それでも、そこそこ歩かされるルートでは有る。
 その癖人気が有るのは、矢張り犬越路と陽木沢の爽快さが受けるのだろう。あと、アップダウンのルート自体の魅力かな。大室山を正面に段々高度を落として行く。気持ちの良い、且つ面白い山道なのだ。
 昔々、金山谷を詰めようとしたら、最初の棚の滝壺が深そうなので、入るのを嫌って巻いた。処が谷に戻れない。どんどん登るばかり。谷は遥かに下になって行く。でも、幾ら谷に戻る場所を探しても無い。
 経験有る方は分かるだろうけど、どこにも降りる手立てが無く、唯々高度が上がって行く。困るのだけど、どうしようも無いのだ。
 勿論死ぬ気になって下降すればれば戻れるのだろうが、とても此処で、ガラガラと落っこちて、下手すると死ぬ、気にはなれない。良くて捻挫か骨折、そんなの嫌だ。それは極めて当然な考えでしょう?
 ま、サブザイル一本有れば下れるんだけど、無精者が持って行かなかったと言う、例の情無い話なのだ(恥)。
で、とうとう下れなくて、マイシークレットルートに登り着いちまって、その侭金山谷乗越しに行っちまった(涙)。  ま、良いさ、好きな尾根なんだから。そのうちにリベンジするさ。ふん。
 とか言い乍ら、リベンジはしていない。滝壺を荷物を背負って泳ぐ歳では無いって事なのでしょう。そんな事するのは、文字通り、年寄りの冷や水、はっはっはっは。(語るに
落ちたな)
 丹沢の中央に位置し、常に霧に包まれている奥深い山、檜洞丸。その印象は今だに拭えない(あくまで印象ですよ)。私の中の憧れの山。本当は違うんだけど、私にはそうなんで、不思議です。その地位は私の葬式の日迄、不動であり続けるのです。

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