2013年9月25日水曜日

閑話 その百八





 閑話八十六、八十七で源次郎沢を書いた。茅ヶ崎の男性と出会って、F9を嫌って変なザレ尾根を登った話だ。
 其れから暫くして、又、源次郎沢へ入った。処が変にバランスが悪い日だった。多分体調不良だったのだろう。結局F9は止めて、又もや、同じ変なザレ尾根を登ったのだった。
 一応本流に戻ろうとは努力した。枝尾根やガレを何度もトラバースしたけれど、一度離れた本流には着けず、結局同じ尾根になったと言うお粗末。
 今度こそ、と気負って九月半ば過ぎに出掛けた。F8を巻くトラバースに一寸と嫌な所が有り、残置ハーケンが有るので、其処に通すカナビラも買って、準備OKで有る。
 源次郎を完全に詰めたのは、七、八年前になる。では、今度も詰められる筈だ。あ、断っておきますが、沢登りの入門編其の二の位置付けなんで、高所恐怖症のあたしだから気負うので、普通は笑っちゃう事なんです。
 で、笑えないあたしは、うーヤバッ、と頑張って辿り着いた、F8へ。嫌な(あたしにとってだけだろう)トラバースで、カナビラが役に立った、万歳!
 初めて源次郎に入った時は、何て事も無かった。此の歳になると、ってな事ばかり。どうでも良い岩に偉く苦労するの、其れも何ヶ所も。
 高所恐怖症の臆病者は、本当は沢登りなんかやらない方が良いに決まって居る。でも、出掛けるのだから、自業自得で有る。人を連れて行くと、一人の時より恐怖心が薄まる。見栄か責任感のどちらか、或いは両方だろう。



 茅ヶ崎の男性とF9から尾根に取り付く時、ザレのトラバースをヒョイヒョイとやった。次に一人で、同じ所を行くのが偉く怖かった。前は行けただろう?行けよ!と自分を叱り乍らやっと通過したのだ。
 何だか、見栄なんじゃないかと、己を疑わざるを得ないのは、大変不本意な事だ。本来の自分は、見栄や外聞が無ければ、唯怖がって居るだけって事なのけえ? 多分……。
 情無い話は、続きます。

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