2013年8月3日土曜日

柄でも無い事 その四十五




 尤も、冷静に思い起こせば、あたしだけがケチョクソにされて居た訳では無い。誰でも(古狸達でも)、シナリオの欠点は指摘されるし、現にあたしも指摘した。
 そうだったんだ、自分のシナリオにケチを付けられると(失礼、ケチでは無いと承知です!)、自尊心が許せないのだ。詰まり、其れだけ自惚れ返ってたって事だった訳だ。其れを打ち砕かれたのですなあ。
 あたしが様な歳なら良い。打たれ強い(詰まり鈍い)。若い諸君には、さぞや辛い事だっただろう。現に、ゼミに新入生が十人入って来ても、卒業出来るのは一人を割るだろう。95%位が、途中で消えて行く。
 結局、あたしのシナリオで受けたのは二つ。其のうちの一つはSFで、女性陣が勘違いして、間違えて受けた。説明したら、女性陣は白けた。でも、若いSF指向の諸君には、勘違いで無く受けた。「嫉妬しますよ!」と迄言ってくれた。
 馬鹿!! と思われるのは尤もです。だって、柄でも無いんだから、仕方無いんです。書いてる本人だって、汗をかいてんだからさ。
 あと受けたのは課題の喜劇。あたしが見送った卒業生は四人だが、皆さん、喜劇はモロ外した(一人だけ、やや受けた)。笑わすのは、泣かすよっか遥かに難しい。お笑い芸人は尊敬に値すると、あたしゃあ思う。
 気障にも「喜劇だから気楽に書きました」と言うと、案の定「何時も気楽に書けば良かったのに」と突っ込まれる。
 どれ程居たのだろう。二年半位だっただろうか。卒業(詰まり、課題三十本が終わった時)する時には、古参になって居た。
 あたしは生徒の最年長だったが、若者や中年入口の諸君と、ゼミ後に飲む酒は実に美味かった。何せ夜学なので酒のスタートが遅い。従って帰宅は何時も真夜中だった。
 ゼミの諸君はどうして居るだろう。首尾良くプロデビューした人も居るだろう。諦めて堅気になった人も居るだろう。え、じゃあシナリオライターは堅気じゃ無いのかって?あの世界が堅気の筈無いでしょう!!

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

作家の世界も厳しいですねー!ひとくせも ふたくせもある方々が、切磋琢磨しながら書いて、批評しあうなど、、、とてもふつうの神経では生き残れそうにありません。お疲れ様でした。でも、そんな方々と深夜まで楽しくお酒を酌み交わせるKENZABUROUさんって、何者???

kenzaburou さんのコメント...

何せ皆さんは本気でプロを目指しているので、議論も本気なのです。それはそれは、ワクワクする面白さです。