2013年3月2日土曜日

我がロマンチック街道 その十二





 で、丁寧に尾根筋を教えてくれた。翌日は其の尾根を下って尾瀬に向かった訳だ。思えば有難い人で有る。わざわざテントに寄って、教えてくれる。私だって出来ないだろう。感謝して居ます。本当に氏神様だったりして。
 四日目、まあ視界は効く。思いの外我々は心掛けが良いのかな?
 白沢山(1952,8m)を越え、左右に分かれる尾根を右に行き、程無く教わった尾根を見つける。トレースがたっぷりだ。皆さんご存知の尾根なのだろう。知らぬは私一人のみ、ってね。
 下り切ると沢沿いで渡渉を繰り返すが、確りした雪橋が架かって居て、とても助かる。遥か遠くに、尾瀬のヴィジターセンターが望める川原(と言っても雪上)で、私のロマンチック街道の、最後の幕営で有る。
私「よし、テントは此処。ザックを降ろしたら、空身でついといで」
Y「何なの?」
私「良いからさ」
 一寸と戻って、適当な所に足場を造り乍ら川原に下って(雪が1m程の壁になって居るので)、水を飲んで顔を洗う。何、其れだけなんだけど、四日振りに雪解け水で顔を洗う、結構感動もので蘇生の感すら有るのだ。
 此の夜は、夜中に恒例の大(?)宴会、有る酒は全部呑んじまえ、明日は帰るぞ!あんなに来たがって居た山なのに、帰れるとなると大喜びで飲み捲くる、一体何なんだろう?人間とは不可思議な生き物では有りますなあ。
 最終日五日目、又しても天気は回復、真っ青な空で有る。今朝は尾瀬ヶ原の西端の横断で有る。ヴィジターセンターは歩いても歩いても近づかない。
 実際に距離が有るのと、我々が立派に疲労して居るからだろう。現に、鳩待峠への僅かな登りでYは完全に顎を出した。蓄積した疲れが、限界に来て居たのだろう。
 (我がロマンチック街道 その十三へ続く)

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

本当に深い山ですね。地図で見ても、尾瀬は広大な地域に広がっています。雪解け水を飲み、4日ぶりの洗顔、、、すごい! まことに命の蘇生そのものでしょう。そんなに雪が積もっていたら、川原に降りるのも テントまで 取って返すのも、大変なんですね。
「雪渓を踏み抜いて、沢から落下、、」も いつ起きても不思議ではない走行なんですね。読んでいると、情景が想像できて、ドキュメンタリーフイルムを観ているようです。

kenzaburou さんのコメント...

深い深い山域です。
最後の幕営は、尾瀬の一角でしたので、もう目的地だ、山を登らなくても良い、と言う安堵感と解放感がたまらなかったのです。
雪渓を踏み抜いたら絶対に助かりませんので、沢を下らず正解でした。
教えてくれた方に感謝です。