2013年3月27日水曜日

山の報告です その三十八





 さて、主脈から外れて青野へ向かう尾根に入った。相変わらず氷の上に雪、油断ならない世界に入った訳だけど、フッフッフ、アイゼン(四本歯の軽アイゼンなんだけど)が有れば何でも無い。氷?凍った雪?どうぞどうぞの世界なんです。
 下り乍ら昨夜の話を思い出した。小屋番氏曰く「八十近くなってる常連さんは、大倉から日帰りで(蛭ヶ岳を)ピストンするんですよ!」。
 え、何だそりゃあ、おらあぜってえ真似なんかできねえだー!!詰まり、やれる人はやれて、やれない奴はやれないって言う、分かり易い話だ。分かり易いだけに、情無くなって仕舞うのだ。



 話を戻そう。尾根を下って行ったら三人のパーティが登って来た。アイゼンをばっちり着けて居る。一人は絵に描いた様な山女だった。三十の一寸と前だろう。
彼女「此の先が、狭くて凍ってますよ」
私「それは嬉しいですね」
 きっとあそこだ、来る時四つん這いになった所だ。
其処に着いたら、又もや三人のパーティが通過中だった。此のパーティは未だアイゼンを着けて居ない。中年入口のリーダーは既に悪場を通過して居て、若い女性が氷の上に居た。残りの若い男性未だ氷に踏み込んで居ない。
私「アイゼンが有るのなら、着けられた方が良いでしょう」
リ-ダー「戻ってアイゼンを着けて。俺は此処で着けるから」
 でも、女の子(二十代)は動かない。いや、動けないのだ。
リーダー「戻って、アイゼンを着けなさい」
女の子「動けないんです」
 そうでしょうとも。散々そんな状況には出くわして居る。あたしはズカズカと彼女の横へ行き(アイゼンのお蔭)、彼女の手を取って十歩程下った。
彼女「あ、モロ滑ってる!」
 でも、あたしが確りガードして居る。で、彼女は無事に氷から抜け出た次第。あたしだって、たまにはナイトも演じるって事です。
 いやあ、最高峰蛭ヶ岳、こんな塩梅だったけど、今度は朝夕の良い天気の時に行きたい、と思って居るのです。

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

「たまには、ナイトを、、」!!! かっこいいい!!!!雪の蛭ガ岳、なかなか手ごわいですね。でも若い山女さん、命拾いしましたね。動けば、滑って落ちていく、上がれない、下がれない、、、で怖かったでしょうね。リーダーさんは 命令するだけで、全然手を貸してあげてないじゃありませんか、、、!KENZABUROU さんが居なかったら、どうするつもりだったんですか!

kenzaburou さんのコメント...

リーダー氏もやっと通過したのだと思います。彼も未だアイゼンを着けていなかったので、とりあえず口頭のみになったのでしょう。アイゼンを着ければ、即救助に向かっただろうと思っています。