2013年2月6日水曜日

閑話 その九十七





 塔への最後の登りは、例に依って道とは無関係に直登する。木の枝をくぐって行く。ツルツル滑るのは変わらない。登りでこんなに滑るなら、下りはどうなっちまうんだ?
 其れは考えないのだ。ま、何とかならあ。現に、何とかなって来たし。
 うーん、頗る(すこぶる)好い加減な思想の持ち主だったんだ、あたしゃあさ。今気付いたのかって?いや、前から気付いては居た。
 どうでも良いから、塔へ登ろう。登りましたが、景色は無し。唯寒いのみなので、久し振りに尊仏山荘に入る。入口は雪を掻いてちゃんと開けて有る。

 
 中は満員。当然で、前後した諸君が寒さを避けて居る訳だ。勿論表で休む諸君も、流石に少ないけども居る。装備が違う。冬用の上着とズボンの完全装備だ。あたしは、網シャツにカッター、其の上にフリースと言う貧弱な装備、小屋に入るの一手なのだ。
 小屋で昼飯を摂って出発する。さて、案じた通り、滑るのでビクビクで有る。スッテンと転ぶ。雪塗れになって、パタパタ叩く。手がかじかむ。アホ、アイゼンを着けろ!
 着けないもんねー。此処迄来て、今更軽アイゼンなんか着けられるかい。へん、だったら最初から着けてるわい。其れって意地? うん、馬鹿みたい。。。。
 其の意地の所為で、5回程転んだ。雪の中なので怪我はしない。唯雪まみれになるのが面倒だ。
 数人アイゼン無しの登山者が居た。皆、若い衆だった。靴を雪面に叩きつける様に、或いは蹴込む様に打ち付け、滑りを止めて居た。あたしには其の真似が出来なかったって事なの。詰まり馬力の差なのだ。
 普通、人は0.1馬力に換算される。人が10人で馬一頭分の力だ。但し其れは現役の人間の話。あたしが様な歳になっちまうと、0.        01馬力ってとこだろう。あたしが100人でやっと1馬力。仕方無いですなあ。
 で、気を付けつつもせっせと下ったのだが、彼方此方変に筋肉を使ったので、普段と違う筋肉痛になった。其れは其れで面白いのだ。
 残念なのは、自分に必死で、そんな良い環境に居る皆さんを見る余裕が無かった事だ。山野次馬の名に恥じるべしで有りました。

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

まだ寒いんですねー!
雪山でしっかり遊んでこられましたね。それも自分のスタイルを通し抜いて、、、。いいですね!!アイゼンというものをつけて、雪道を歩いてみたいっす!!!

kenzaburou さんのコメント...

そうでしたね、DOGLOVER さんは雪山の経験が無かったんでですね。
天気が良ければ、楽しいんです!!