2013年2月26日火曜日

我がロマンチック街道 その十一





 此の日はどうしても平ヶ岳を越えたい。さもなければ後が窮屈になる。好天だってそう何時迄も続く筈が無い。
私「Yよ、今日は一寸ときついかも知れないが、頑張ってな」
Y「……大丈夫」
 心強いお言葉だ!そして頑張ってくれて、平ヶ岳(2139,6m)のピークを越えた処で三泊目の幕営が出来た。とても目出度い!
 にせ藤原山だったか、次の滝が倉山(1716m)だったか、下り切ると岩場になる。事前に記録を調べておいたので、ああ、此処だなと分かった。外の殆んどのパーティは逆ルートなので(尾瀬は標高が高いので有利だ)下りの岩場になる。従って躊躇わずにザイルを使用して居るが、どっこいこちとら、登りの岩場だい、ヘン。
 空身になって登ってルートを確定、又下ってザックを背に登り返す。ザイルを使うより余程楽で有る。岩場が登りで良かった!
 平ヶ岳へは登山道が有るが、入り口迄の林道は雪に覆われて居るので、登山道を登る物好きは居ない。車を使えなければ、気が狂う程、林道を歩かされるのだ。其れも雪道を。
 其の代わり、尾瀬から平ヶ岳へ登ってくるのだ。雪が有るからこそ出来る訳だ。其れも一つや二つじゃ無い。二日間に擦れ違っただけでも、八パーティは有った。
 平ヶ岳の登りはずーっと続く。カップルの足跡も等間隔に綺麗に続く。私達は其の跡を踏んで登る。其のうちにガスって来た。ピークに立った時は、ガスで景色は見えない。良いのさ、今迄散々景色を見れたんだから。
 テントを張って、其の前で一服して居たら時の氏神が通り掛かられた。三人のパーティのうちの一人が私に聞いた。
其の人「何処へ下るんですか」
私「尾瀬に下ります」
其の人「ルートは?」
私「猫又沢を下ろうと思ってますが」
其の人「あ、其れはお止しなさい」
私「何か有りますか?」
其の人「一昨年も雪渓を踏み抜いて一人亡くなってます。沢は危ない」
 (我がロマンチック街道 その十二へ続く)

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