2013年2月20日水曜日

我がロマンチック街道 その十





 さて、第八区間に戻ろう。私ももうじき六十代(其の時)、油断して居るうちに(多分)最後のチャンスになっちまった。済みませんねえ、若い頃に済ませば良いのに、其のうちね、とか言って北アルプスに行ったりして居るうちに、追い詰められちゃって居たのだ(馬鹿です)。
 大水上山、名前負けの典型で有る。確かに天下の利根川の流なのだから、大水上山と名付けたいのは分かるが、見るとポツンとした小さな侘びしいピークなの。少し先に中ノ岳が聳えて居るので、尚更小さく見える。



 前日は丹後山の肩ちかくに幕営した。其の時の写真が前出のもので有る。若いカップルが我々を羨ましがって登って行ったと書いたが、彼らも同ルートを目指して居たので、ずーっと彼等の足跡を追う事になる。何処迄も何処迄も続く雪面の足跡を。
 大水上山からは、突然石楠花に縋っての急下降となった。崖を下るのと変わり無く、とてもじゃ無いけど、主稜線とは思えないのだ。
 東谷岳の時の様にYが滑落しないで良かった。下降しながらトラバースをするので、下手すると凄い滑落になって、もう会えなくなったかも知れない。
 雪の稜線に無事に立って東へ向かい、藤原山(1709m)を通過、にせ藤原山(1750,4m、変な名前!)で幕営二泊目を迎える。二人共酒も大して飲まずに、良い子で早寝の一手。明るいうちから寝て仕舞う。未だ未だ先が有るからだ。幸い天気は上々、其の上、先行カップルのずーっと続く足跡のお陰で、ルートに於いては全く不安が無いのは凄く有難い。
 三日目、此の日も好天。ラッキーとは正に此の事。何せお天気商売なもんで、降れば泣く思いをさせられるのは、ご承知の通りだ。悪天候と好天とは、地獄と極楽の差だ。
 (我がロマンチック街道 その十一へ続く)

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

素敵なテントですね。眺めも、お天気も良くて、心地よさそう、、、うらやましです。
「下降しながらトラバースするので、下手すると すごい滑落、、、、」想像するだけで、ぞっとします。ロマンの上越国境 縦走も、あんまりロマンチックな香りが、、、写真を見ると たしかにロマンチックなんですが、、、そこまでたどり着くまでが、厳しすぎて、、、!

kenzaburou さんのコメント...

へへへ、確かにロマンチックな香りはしませんなあ。

あしぇとあしぇと冷あしぇのしぇかいですたい。(九州弁失礼)

でも入って仕舞うと、天国な様な局面も有るんですよ。