2012年11月8日木曜日

臆病者の痩せ我慢 その四




 スズタケや木の根にもご厄介になって、体をズリ上げて行くと、もう戻る事は出来ないのだ。まあ、サブザイルが有れば戻れるんだけどね。
 で、適当な所でトラバース出来れば良いのだが、其んな場所は大抵落ち口の上あたりなので、若し滑落すれば其の侭滝に迄落ちると思うと、足が出ない。仕方無く、より高く登って行く事となる。
 沢屋の諸君はそんな事は無く、トットとトラバースをして行く事だろう。私との違いは余りにも大きい(忸怩)……。
 さて、必死に登って行くと今度は川原が随分下になる。そうなると、中々降りれないのだ。トラバース気味に一寸とずつ降りて行くのだが、コレマタ怖いの。どちらにしても、高所恐怖症には、辛い話だ。
 無名沢の最後の詰めには、それぞれのロマンが有る。土の壁かも知れない。飛んでもないザレかもしれない。密集したスズタケかも知れない。ロマンでしょう(涙)。
 高名な沢の詰めは、踏み跡を辿って稜線に出る。藪とか土の壁とかは、無い。中川流域だと、(勿論行く筈無いので、聞く処に依ればです)稜線に出ても路が無く、凄い密藪と格闘するよりは、中級の沢を下降するのがセオリーと言う、恐ろしいのも有る様だけれども、そんなのは稀だ。多くの詰めは、楽と言っても良い様だ。
 無名沢の最後の詰めについては、本文以外にも散々書いた(との覚えが有る)。だもんで敢えて繰り返さにゃーでよ(名古屋弁)。ですけれどもですが(栃木弁)、さっきはロマンと書いたけど、命懸けに近い局面が多い(お前が臆病だからだろう?そうです)。沢屋・岩屋の諸君が来て見れば、多分又、今迄とは別の恐怖が有ると思うのです。
 其れを覚悟で、高所恐怖症の臆病者が震えながら前進して行くのです。(アホじゃ!)

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