2012年11月13日火曜日

閑話 その九十




 流れる水を最高に美味しく飲むには、どうすれば良いのだろう?
 カップで汲む?何のカップ、まさかアルミじゃないでしょうね。では、チタニウムのカップかい?それとも手の平に受けて飲む?
 チッチッチ、違うんだよねー。正解は、流れに直に口をつけて飲む。此れが一番美味い!若し知らなかったなら、一度お試しあれ。
 とは言っても、そこいらの汚い川やドブではやらないように。腹を壊したり、変な病気になりたけりゃあ別だけど、そんな人は居ないだろう、多分。
あくまで、綺麗な水の流れる山中の話だ。流れる清流に口をつけで水を飲む。此れは美味い、文句無く美味い!
 山中でも、もう一つ条件が有った。植林帯の流れは除く、が条件だ。植林帯の流れは、見掛けは清流でも、そこいらの川やドブとそう大して変わりは無い。
 一寸と言い過ぎたかな。以下の話は本当の小沢だったので、水量が三倍も有れば結果は違ったかも知れない。
 昔々、Yと植林帯の小沢を下った事が有った。夏の終わりだったと思う。Yのズボンは泥まみれだったので、彼は流れに入って、ジャブジャブとはいた侭ズボンを洗った。
 直に道に出て、停めて有ったあたしの車に乗って、東京に帰った。平日は仕事に行くので、車は使わない。翌土曜日、車のドアを開けて驚いた。助手席がカビだらけなのだ、シートベルト迄!
 思うに、沢の水に雑菌その他が大勢生息しており、Yの衣服に移って車の助手席へ、其処で密封されて天火に炙られ、絶好の培養器の仲ですくすくと成長したのだろう。多分当って居る筈だ。沢に入らなかったあたしのシートは、全く無事なのだ。
 慌ててYの下宿(当時Yは駒沢に住んで居た)へ車を走らせ、車内を見たYも驚いた。熱湯で綺麗に掃除をしたら、其の後は出現しなかった。
 此の話は、今でも時々出る。我々はマタンゴ事件と呼んで居る。マタンゴとは、茸状のバケモノが人間を襲う古いB級映画だ。
 其のマタンゴ事件以来、我々は植林帯の流れは、飲まなくなったのです。恐ろしい話でしょう?

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

マタンゴ事件、、、怖いですね! 山で沢歩きをしてきた人を乗せると、車の中でキノコが生えてくる!!!カビでシートに網目模様が、、、!!!「山は清潔」という 揺るぎがたい信心がゆらいでしまう!!!

kenzaburou さんのコメント...

植林の中の小沢だったからだと、思います。

あたしはどうも、植林に恨みが有る様なので、バイアスは掛かって居るかも知れません。

どんな恨みだって?自然を壊すなってこったよ!

あ、本文では無かった!!(失礼)