2012年10月22日月曜日

山の報告です その三十五






 景色を愛でつつゆっくりと下る。時間が有ろし、汗を僅かでもかきたく無い。一生懸命下ると汗をかくものなのだ。すると今夜も寒い思いをする、と言う下らない訳です。
 振り返る北岳は見事だ。そして周りの景色も。其れも稜線から外れて下り始める迄で、其れからは樹林帯に入るのだ。で、稜線との分岐で、最後の景色を楽しんで居たら、ドイツのカップルにバスを聞かれて困って居た青年が降りて来た。彼はあたしが御池小屋で幕営と知って居る。お先に、と抜いて行った。



 草スベリは結構急坂だ。焦らず下るにつれ、黄葉が鮮やかになって行く。体迄黄色く染まる様な黄葉の中で有る。やがて、遠くあたしのテントと小屋の屋根が見え、小屋に着く。



 ベンチでは、先程の青年が一服つけて居た。
青年「(テントに目をやり)あれですか」
私「そう、あれが私の家」
青年「良いなあ!!」
 フッフッフ、君も歳を取ったらやり給え、時間を気にしないで良くなったらね。
 其の彼も出発する。
青年「では行きます、有り難う御座いました」
 礼を言われる覚えは無いので、曖昧に返事をし、「気を付けて」と送る。くどいだろうけど、山は一期一会で有る。其の潔さが好きだ。
 此の夜は、予備下着の動員が効いて、硬かったが寒くはなかった。唯、何だか眠れず零時になった。こうなりゃ、一人で夜中の宴会だ!ウイスキーをラッパ飲み、煙草を吸っては又飲む。で、一時過ぎにシェラフに入った。
 ウトウトはするけど、寝た気がしない。四時を確認したらふと寝たらしい。気付けば日がさして居る。わーっ!!と飛び起きた。六時十五分だった。そんなに慌てる必要は無い。バスは十一時なのだ。北岳は朝日に輝いて居た。



 テントを担ぎ下ろし、バス停に着いたのが九時四十五分、一時間一寸と待つなと思ったら、バスは十二時だった。インターネットでも調べ、小屋でも確認したんだ、何で12時なんだよー!ったって仕方無い。今月から変更になったそうだ。情報は更新してよね、山梨交通さん。
 十一時に甲府からのバスが着いた。登山者も数人降りて来る。可哀そううに、今日から天気は下り坂だ。彼らも知って居て、「小屋迄降らないと良いんですがね」と言う。駄目だっただろう、きっと。町田に着いた時は、もう雨だった。其の前に、列車の中で、既に雨だった。
 と言う事は、山はとっくに降って居ると言う事だ。下手すると雪かも知れない。でも、彼等は覚悟の上だろうから、大丈夫に決まって居る(だろう)。
 あたしはひたすら待ってバスに乗り、甲府で蕎麦を食べて駅に着くと、梓が遅れて居て予定前の梓に乗れた、ラッキー!!
 久し振りの北岳、流石に第二位の山の貫禄だ。冬にはとても登れないと再確認しました。

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

良い山行でしたね。秋を満喫されたことでしょう。本当に、二番目に高い山、北岳は剣岳より、穂高より高いのですから、お天気に恵まれて、充分に楽しまれて満足でしょう。やっぱりKENZABUROUさんは、北でなく、南アルプスがお好きなんですね。

kenzaburou さんのコメント...

うーん、微妙な処なんですが、奥秩父の延長で南に近親感は、確かに有ります。