2012年10月10日水曜日

ハイクへのお誘い その十八





 此の書策(かいさく)新道の章は、中級者以上向けで有る。若し山慣れない人が行かれるならば、必ず必ず、経験者と同行して下さい。
 大体からして新道では、最早無い。開拓者の渋谷書策氏が手入れを出来なくなってから、十年は経って居るのでは?F5nの上迄は、沢登りの諸君が利用するので、どうにか手が入って居るが、其の先は放っぽって有る。詰まり通行禁止道なのだ。
 そんな所を何故紹介するかと言うと、今なら未だ通行出来るからだ。先は分からない。今は生きて居るロープも落ちるかも知れない。路の崩壊も進むかも知れない。従って、あくまで行かれる人の自己責任を前提として、紹介しようと決めたのです。だもんで、経験者向きです。
 渋沢で下車、バスで大倉へ入る。大吊り橋(風の吊り橋)を渡り、左へ回り込んで下の林道へ下る。其れを右に、地図上で一時間三十五分の林道歩きだ。新茅沢を越すと傾斜が増し、作治小屋に着く。更に進むと東屋とトイレが有る。休憩には持って来いなのだ。
 あたしの歩いた日は、パトカーが五台も停まって居て、登山姿の警察官がザイルを肩に出発の用意中だ。あたしは物好きにも聞きに行った。
私「事故ですか?」
警察官「いえ、訓練です」
私「ご苦労様です」
 若い警察官だった。神奈川県警のレスキューだろう。お世話にならない様にしよーっと。
 東屋を出て進み鉄橋で本谷を渡る。一寸と登ると火の用心の看板が有る。其処から少しの距離で、右に沢へ降りる路が有る。堰堤下の向こう岸に階段が見えれば、当たりで有る。




 流れ(源次郎沢)を渡って階段を登り、進むと直ぐに看板が有る。




 此処を左に上ると尾根で、尾根を右へ登るのだ。其処はビニールテープが入るなと張って有る。跨いで入るのは、自己責任だ。真直ぐ下ると源次郎沢なので、降りない様に。後は暫く確りした路で有る。
 木橋を渡るが、手摺は当てにしない様に。グラグラで、何時迄もつやら。木橋の先で枯沢を渡るが、路はほんの一寸と上に有る。山慣れた人なら、造作無く見つけるだろう。
 其の先に嫌な所が二箇所程有るが、ロープは生きて居るので、今は大丈夫だ。




 やがて本谷へ下る。



 流れを越えると看板が有り、路はその前を通って斜面に取り付く。割と分かり易いだろう。登ったり巻いたり、路は続く。



 ほぼ落ちた桟道が有るが、高巻きがお薦めだ。上にもロープが張って有る。暫くで沢を渡る。セドノ沢の支流だ。其処から一息でセドノ沢本流に着く。(続)

3 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...
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DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

渋谷書策さんは、とてつもなくすごい方だったのですね。階段や橋を整備して、山屋さんのために、新道を作るなんて。大変な仕事だったでしょう。KENZABUROUさんが ここで書かれた回顧で、山屋のおやじさんが、最後の頃は、歯が一本しかなくて、うどんしか食べられなかった、とか、インスタントコーヒーを震える手で作ってくれた というお話が、なんか、胸に沁みます。
もう 限られた人しか、登れなく無くかもしれないのですね。残念ですねー!

kenzaburou さんのコメント...

そうでした。書策氏は最後には小屋の親父ではなく、唯其処で生活している人になりました。
彼の小屋も綺麗に片付けられ、寂しいです。