2012年10月18日木曜日

山の報告です その三十三





 天気が良さそうだと用事が有り、予定が無ければ天気が悪いで、とうとう十月半ばになって、北岳へ行って来ました。昨日帰京です。
 梓で甲府へ行き、バスで広河原へ二時間と言う何時もの入山。天気は上々、北岳も雪渓もはっきり見える。でも山は秋深し、バス停に降り立ったのは六人のみで有る。
 御池小屋の幕営地迄の三時間の登りを、テントを担ぎ上げねばならない。急登をゆっくりゆっくりと行く。二回目の休憩は第二ベンチで、「急登はあと20分で終わり。小屋迄1時間」と看板に書いて有る。
 其処へ三十代のカップルが降りて来て、看板を読んだ。
女性「急登はあと20分、嘘!」
私「え、嘘ですか!!」
女性「あ、いえいえ、私のペースです」
 思えば間抜けなやり取りだ。でも、本当に二十分で急登が終ったのは、嬉しかった。



 テントは二つのみ。小屋には十人程の客。早々に寝袋に入るが寒くて硬い。マットが見付からなかったので(良く探せば有るのだ)、銀マットを持って来たのだ。マットと言うより、緊急の保温用具だ。ボーン・レガシーの冒頭で、ジェレミー・レナが凍て付いた川から上がって、体に巻いて焚き火にあたったペラペラのあれで有る。従って地面が硬い。
 おまけに夏用のシェラフだった。従って寒い。夜が更けるにつれ寒さは増す。其れは良い事なので、明日の晴天を保証するのだ。現に夜中に出て見上げると満天の星だ。それも、すばる、牡牛座、オリオン、双子座、大犬座と冬のスターの競演で有る。
 良い事でも寒いので、明日は予備の下着も着込んでやるんだ、見てろよ、と変に力む。
 翌朝、雲一つ無い快晴。草やベンチには霜が下りて居る。寒い筈だ。北岳に朝日が当たり出した。出発を急ごう。アタックザックを背に歩き始める。あー、重荷が無いとは、何と幸せなんだろう!



 道は大樺沢へ出、雪渓に沿って登る。所々凍って居る。此の冬一番の氷で有る。沢も段々と狭まり、背後の観音岳と同高度になったら、梯子の連続が始まる。十年前には感じなかったけれど、今となっては結構きつい。
 やっと、連続する梯子から解放されたのは、八本歯ノコルに立った時だ。もうピーク迄は一時間の距離だ。空は見事に晴れ渡って居る。(続)

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

お帰りなさい、無事に登られて、帰ってこられて、良かったです。お疲れ様でした。もう、10月半ば、山は冬ですね。テントから山頂を望む写真で、やはり南アルプスは山が大きくて、深いことがわかります。写真で山の空気が感じられます。ありがとうございます。

kenzaburou さんのコメント...

有り難う御座います。好天だったので秋山でした。崩れれば、即冬山です。