2011年6月18日土曜日

山なんか嫌いだ! その三


 夏で良かった、専務は一晩其処で明かした訳なのだから。北陸なので、冬だったら一晩はもたないだろう。
 朝になったら、見通しが利いてどうにか林
道に下る事が出来たそうだ。初心者なので、変な所で動きが取れなくなって居たのだろう。でも、動かずに朝を迎えたのは正解なのだ。暗い中を動き回っても、ろくな事は無い。
 林道で彼を探しに来た救援隊と出会った。
さぞ嬉しかっただろう。専務はそこら中蚊に刺されボコボコだったそうだが、何より無事で目出度い。
 地元の新聞にも載って仕舞ったが、小さな
山だったから蚊に喰われる位で済んだ。多分専務は、山なんか嫌いだ!とあちこち掻き乍ら心で叫んだ事だろう、はっはっはっは。
 笑い事では無い、不謹慎でした。でも山仲
間は無事に済んだ遭難話は、大笑いして楽しむネタなのだ。何たって無事なんだから、こんな良い事は無いのだから。
 家族、友人が山で死んだら、山なんか嫌い
だ!と言いたくなるかも知れない。でも、一寸と違うんだなあ。何でそんなドジを踏んだんだ、と凄く怒る(悲しむ)だろうけど、決して山の所為では無いのだから。
 でも、其の山が無ければ、其の死も無い。

 で、其の山を嫌う場合も有り得ると想像出
来る。特に、子供を山で亡くした親はそう思うでしょう。全く当然です。
 幸いにして、私は山で死人どころか怪我人
も出した事が無いので幸せなのだが、本格的登山者のNやIはそうは行かない見たいだ。
 Nは冬の硫黄尾根で遭難者を出し、警察で
取調べを受けた。彼は其処に行っていないのだが、有名山岳会の其の冬の幾つかのパーティの総リーダーだったからだ。
 仲間が死んだ上に警察ざた、さぞや辛かっ
ただろう。でも仕方無い、総リーダーなんだから。遭難の責任も負うべき立場なのだ。流石のNも、山なんか嫌いだ!と思った瞬間が有ったのでは?
 多分無いだろうな、そんなにヤワな奴じゃ
無いんだから。と言い乍ら、其の瞬間が有ったと、私は勝手に思いたい。だって、Nだって人間なんだから。しかも人並み外れた人情家なのだ。
 其の点私が様な好い加減な山好きは、そん
な悲しい思いをしないで済んで、とても嬉しい。でも、私だって山のリーダーは百回以上は勤めてるんですぞ。無事故無違反、ゴールド免許なのだ。ま、絶対に危ない所には行かないからだけどね。ゴールド免許は運転しない人専門、と同じ事ですなあ。
 無事が一番、山の事故は既に敗北。勝ち負
けでは無いのだが。
 外には思い浮かばない。あ、林道歩きもウ
ンザリだ。此れは長くなるので次の章とします。お楽しみに(嫌?)。

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