2010年9月8日水曜日

丹沢は冬も良いのです その二


 流石に北岳は白銀の姿だったが、俺の歩いている早川尾根をどうしてくれんだよー、少なくとも脛迄は雪に埋まらないと、気分が出ないじゃないかよー、どうせ凄く寒いんだからさあ(涙)。

 という訳で、冬に山に行ったのに雪が無いのは結構気分的に変なんで、十二月の丹沢は全く其の世界だ。年に依って違いは有るのだが、大体はそんな感じで、霜解けの山なのだ。でも、静かで(人が来ないから)、澄み切った清冽な空気は棄て難いものが有る。

 暮れの丹沢は穴場だ。嘘の様に人が少ないから、自分の山を楽しめる。元旦ともなると、初日の出を狙う人で山は満員状態となので、気を付けよう。

 一月になると雪が来る。此れも年に依って全く異なるのだが、町で寒い雨が降れば、間違い無く丹沢は雪景色だ。でも、本格的に雪になるのは二月と三月だ。理由はとても簡単で、町で雨が降るのは二月と三月が圧倒的に多いからだ。

 雪の深さだが、此れも年に依って全然違う。1m以上平気で積もる事も有る。白くなるだけの事も有る。お天気次第なのだ。

 表尾根の章で触れたが、行者の鎖が埋まる事も有る。そんな積もり方の時は、鬼ヶ岩を下降するのは難しい、とRさんに聞いた。蛭から誰かが登ってトレースを着けないと下れない、と。

 主脈の章で、膝近くの積雪の中、北海道のパーティが遅くなって蛭の小屋に着いたと書いたが、あれはリーダーの青年が見事に下って、ザイルを使って皆さんを下ろしたのだから、珍しい例外なのだ。あの青年は本当に素晴らしかった。分からない方は、主脈の章に有りますので参照下さい。

 従って、冒頭に書いた通り、本格的冬山を目指す人は別にて、丹沢の冬は表尾根から、と書いた訳なのです。

 勿論、安全第一ならば大倉尾根ピストンだけど、折角雪の丹沢に行くのに、それじゃああんまりだ!花立を越えないと山らしく無いし、雪も少ない。表尾根に行って御覧なさい、雪山の匂いがプンプンすらあなあ。

 丹沢の雪の良い処(?)は重たい。つまり湿っているので、ラッセルの苦労が粉雪程は無い。雪質が春山に近いのだ。とは言っても降雪直後は別だ。重いラッセルを強いられるので、きつい。

 でも、アルプスの様に一晩で1mを越す雪は、極めて珍しいので、安心して下さい。其の珍しい時に出会ったらどうするって?引き返すか、喜ぶかのどっちかだよ!

 表尾根なら喜んで良い。絶対良い。唯、登山道は深くえぐれていて、勿論雪で埋まっているから、嵌ったら偉い事になっちまう。ま、良くて腰、場合に依ったら胸迄もぐる。そうなったら喜べないので、登山道(らしき所)は外すのがセオリーだ。

 鎖場は慎重に。降雪直後なら凍ってはいないだろうから、鎖を引っ張れば雪から出て来る。其の翌日以降は、保証の限りでは無い。

 (丹沢の冬も良いのです その三へ続く)

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

なるほど鎖が凍って雪の中に埋もれていると 岩に張り付いていて使えないし、ザイルがないと、下りはとても危険なのですね。冬山の単独行は とっても危険で大変ですね。
丹沢の山も正月は 初日の出を見る人でいっぱいになるなんて、日本人は律儀で やっぱり山が好きな人が多いのですね。

kenzaburou さんのコメント...

そうなんですよねえ。
折角の初日の出なればこそ山頂で迎える、律儀で山好きなんですなあ。