2010年9月1日水曜日

丹沢は冬も良いのです その一

店 058

 

 丹沢の冬を書いておきましょう。そんなの知ってるって?でも、知らない人もいるかも知れないから、取り合えず良いのだ。
 昭和三十七年山渓文庫「冬山」の、ガイドの最初は丹沢主脈縦走で有る。
 此の本を知ってる貴方は偉い!(古いと言うのが正しい?)今読み直すと、モロにマナスル登山隊だ(知らないでしょうねえ)。コットンのヤッケとオーバーズボン、そしてキスリングとオーバーシューズの世界なんだから。
 「丹沢主脈は、はじめて冬山に入る者によく好天に恵まれれば雪上漫歩となる」
  冒頭の一節で有る。全く其の通りなのだが、冬山を目指す人の為の本なので、丹沢の冬を目指す人には一寸と過激だ。
 丹沢の冬入門は表尾根が最適だとは、私見なので、異議有る人はあまたいるだろうけど、私の山仲間は多分賛同してくれると思う(え、違うって?裏切り者、ユダ!)。
 で、十月から早くも冬は忍び寄って来る。霜柱が見られるのは其の頃からなのだ。町はポカポカしてるが、丹沢は冬が始まる。フッフッフ、そう来なくっちゃさあ。
 ご承知の通り、千m登ると0.6度気温が下がるので、町が最低気温10度を切れば、塔から先は氷点下だ。二十三区と比べて秦野は気温が三、四度低いので、大倉尾根も氷点下になる。従って吉沢平(今は此の地名を使う人がいないのが残念)は、霜解けでグチャグチャになる。とても嫌だ。
 十一月ともなれば、霙(みぞれ)はアタボウ、雨だったらラッキーと思うべきなのだ。尤もアルプスは既に冬山なんだけど、丹沢は標高が半分なので一月以上は遅れる。
 十二月は最高か最低で、人に依って評価が分かれる。無闇と寒くて雪も無いので、何なんだよー、と文句の一つも言いたくなる。 昔々、正月に南アの早川尾根を歩いた。特に雪の少ない年だった。早川尾根なぞ冬に入るパーティは、当時は(今もそうかも知れない)まれだった。
 夜行バスで伊那に着き、伊那北駅で寒い朝を迎え、バスで入って凍て付いた川原を歩き、北沢峠と仙水峠を越えて、小松峰の登りで力が尽きた。風が凄まじく強いのだ。振り返って見る甲斐駒ケ岳は黒々としている、冬なのに……。
 雪が少ないので、雪を踏む作業が無いのが救いだったが、風に煽られるテントを張るのは、手はかじかんで思うに任せず、結構大変だった覚えが有る。それに斜面だったし。
 翌日は鳳凰小屋迄頑張って幕営したのだが、夏道は雪を置いてはいるものの完全に露出、冬山に来ている気がしないのが、無闇と寒いだけに悲しいのだ。
 (丹沢は冬も良いですよ その二へ続く)

4 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

本の表紙の丹沢主脈縦走の写真、良いですねー。ヤッケにキスリングが 山にはいちばん正しい姿に見えます。
町で10度を切ると、塔から上は氷点下、、、鉄塔はそんなに標高の高いところにあったんですね。
雪がないのに、むやみに寒い、、。
そうなんです。風で湿度を飛ばされて、体表面の熱を奪われて冷たくて むやみやたらと寒いオーストラリアの冬からみると、気温が低くても雪があっても湿度があると それなりにぬくい日本の冬がなつかしいです。

kenzaburou さんのコメント...

済みません、丹沢にはこんなアルペン的な風景は無いのです。表紙は八ヶ岳です。

オーストラリアの冬って、そんなに寒く感じるのですか。大陸だから、当然と言えば当然なんですね。
今、日本は酷暑の中です。
その癖、空には高くイワシ雲が出たりするんですよ!

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

アアアー!!!赤岳の頂上直下で、横岳が顔を見せているところですか?
東京はまだ暑いようですね。はやくちゃんと秋になって欲しいですね。

kenzaburou さんのコメント...

多分当りだと思います。

東京がちゃんとした秋になるのは、未だ大分先の様です(涙)。

其の前に、オーストラリアに春が来る事でしょう。