2010年1月27日水曜日

色付くダイヤモンド その一

FH010021

 

 

 単独行で困るのは、麓のバス路線がどんどん廃止される事だ。殆ど登山者しか利用しない線だから、無理からぬとは思うが、パーティならいざ知らず、一人でタクシーに乗るのは、極貧契約社員の私としては、荷が重い。と言って、歩くには遠過ぎる。山に登る前からバテるのも、旦那、ご勘弁下せえ、の世界で、避けたいのは人情だ。
 合戦尾根を登りたくとも、中房温泉へバスが無い(筈だ)。ま、例の通り調べては居ない。その代り何処の登山口にも、車が止まって居る。車でしか山に行けなくなっちゃうじゃんかさー。嫌だよそんなの!飲めないし、大体、旅情が無いじゃないですか!
 前章の一期一会の時もそう。ブナ立尾根を下ってバス停に着いた(?)らバス停が無い。ウロウロ探し回ってっても無い物は無い。聞いたら路線は廃止だった。例に依って古い地図を持って行ったので……。結局、信濃大町へタクシーで有る。トホホホ……。
 処で、俗に日本三大急登と言われるのが、裏銀座のブナ立尾根、鹿島槍の赤岩尾根、甲斐駒の黒戸尾根。黒戸尾根だけは登降して居ないので何とも言えないが、ブナ立尾根は下るだけでもウンザリする。赤岩尾根もそう、同じくウンザリだ。
 ウンザリとは、段差の大きい(詰まり急な)下りを続けて、膝は笑い掛け、或いは笑い出し、しかも長いので何時までも続き、息を吐く間も無いので、もう勘弁してくんろー!と叫びたくなる状態を言うのだ。従ってウンザリなのです。
 登って来る人はもっと悲惨だ。一期一会の時も一パーティと擦れ違ったが、皆さんゾンビがやっと蠢いて居る(失礼)状態、生きて小屋に着いて下さい、と祈るのみ。オーバーでは無いのです。疑う方は、一度登ると(下っても)分かるのだ。
 バス路線が復活したと聞いた。折立への路線だ。富山地鉄の何とか言う(忘れちまった)無人駅から三時間位の路線だった筈だ。やったー、此のチャンスを生かさなきゃ、ダイヤモンドコースは一生やれない。
 余計な説明をしよう。知ってる方は御免なさいね。槍ヶ岳から三俣蓮華、其処から東へ向かい野口五郎を越えるのが裏銀座。西へ向かい黒部五郎を越えて太郎平に至るのがダイヤモンドコースで有る。
 此れをやれば、私の北アルプス主稜線のトレースは全て繋がる(朝日から親知らずが残るか……、此れは昔のルートには無いので、スルーしよう)。太郎平から薬師を越えて、剣岳へは、既に歩き済みで有る。
 一昔前の秋の日だった。五十を過ぎれば無理はしない(出来ない)。新幹線で名古屋、特急に乗り換えて飛騨高山、バスで新穂高に入り、染まる様な黄葉の中、槍平小屋へ着いたのは、早夕暮れ時だった。と書くと、何か素晴らしい入山に思えるけど、実際は寒い位なのに汗まみれ、やっと小屋に入って行った、が現実なのは、情無けれども真実なので、涙です。
 (色付くダイヤモンド その二へ続く)

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

写真がすばらしいです。
北アルプスは それですべて歩かれたのですね。穂高や剣岳の写真をみると 胸があつくなります。本当に山のよさは、一歩一歩歩いたことによって それが自分にとって特別な山になるからなんですね。

kenzaburou さんのコメント...

全く仰る通りで、自分の登った山は、遠望しても一発で分かるもんですよね!