2010年1月3日日曜日

柄でも無い事 その九

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 鰻の蒲焼だけど、東西で開き方、調理の仕方が異なるのはご承知の通り。此れも他の文化の境界線と、ほぼダブって居るのが面白い。
 あたしは東京の人間なので、東風の蒸して焼くのが好みだ。大阪で蒲焼を食べると、何かなあ、と思って仕舞う。
 平成の御世の始まった頃は、出張の時には東京駅で鰻弁当を買って新幹線に乗った。鰻が一切れ半乗って居る。普通二切れでしょう、弁当屋の鰻だって。セコイなあ、とは思うけど、好きなもんだで、良く買った。当時は九百円、今は千百円だ。一寸と高いんじゃないかい、JRさんよ。
 豊橋の鰻弁当は中々で、一切れ半なんてセコイ事は無い(あれ、一切れ半だったかな?忘れちまったぜ)。行けば必ず買ったが、西風の鰻なのが一寸と残念なのだ。浜松もそこそこ悪く無い。
 鰻弁当で何故柄でも無い事かと言うと、先ず、あたしが食べ物の話をするのが柄じゃ無い。大体喰えれば良いと言う生き方をして来たんだから、今更何だい、って事です。でも、安心して下さい、最後はちゃんと「柄でも無い事」にして見せましょう(ペッペ(お馴染みの手に唾を着ける音))。
 牛丼屋や弁当屋(除、駅弁)の鰻は余り食べない。中国産の鰻に決まって居るので、出来たら水銀中毒は避けたいと思いつつ、安さに負ける事も有るのです。ま、たまに食っても、死にゃあしねえさ。
 スーパーの蒲焼であたしゃあ充分なんで、其れ以上の贅沢は言わないが、矢張り鰻屋の鰻は旨い。アタボウで、餅は餅屋鰻は鰻屋。
 残念乍ら我が妻子には其の違いがそれ程は分からないらしい。両親の居なくなった今としては、もう鰻屋へ入る事も無いのだ。
 其の鰻屋の話がメインなのだ。其れも名古屋は熱田神宮の横、蓬莱軒と言う店だが、最近は有名な様で、知って居る方が居たら御免なさい。
 昼時は行列で有る。従って時間をずらしが其れでも小部屋に詰め込まれる。にじり戸が付いて居るのが又良い。
 売りはひつまぶし。此れも今では全国区になったが、昔は名古屋でしかお目に掛かれなかった。
 パリッと仕上げる西風の鰻ならではの一品、東風の鰻ではグジャッて仕舞うだろう。名古屋でも大阪でも食べて見たが、熱田の蓬莱軒がダントツで有る。あ、例に依って宣伝では無いですから、誤解の無い様に願います。
 薬味が色々付いて来て、様々な味わいを楽しみ、最後はだし汁を掛けてお茶漬け(?)にする、此れは何処も同じ。
 刻んだ蒲焼が滅法質が良く、旨く炊き上げたご飯と相性がぴったり、タレが又絶品と、良いとこ尽くめなので、わざわざ名古屋に行こうか、と思って仕舞う程なのだ。あ、涎が。
 ね、柄でもない話だったでしょう。

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

写真のうなぎ、おいしそうですねー。うつわも上等で、いかにも老舗の良いお味が想像されます。名古屋の蓬莱軒ですか。おいしいものが食べられて うらやましー!
「ひつまぶし」は、名古屋からワーキングホリデイで来て 着いたその日(クリスマスデイ)に腹痛で倒れた子のお世話をしたときに 教わって 作ってやりましたが、一つのどんぶりで3回美味しい はずの シドニー製ひつまぶしは、じぇんじぇんふにゃふにゃで、美味しく出来ましぇんでした。見たこともない 味わったこともないものを、聞いただけで作ってみるのも、無謀でした。

鰻は、定期的に むしょうに食べたくなりますね。ああ、、、中国製でなく、ちゃんとした店で ちゃんとした鰻蒲焼を食べたいですー!

kenzaburou さんのコメント...

うーん、無理からぬ事と、ご同情申し上げます。

実は妻も、あたしの情報をもとに、じぇんじぇんふにゃふにゃのひつまぶし(?)を、お客さんに出して、泣いて居た事が有ったのです。関西風の蒲焼でなければ、無理なんです。

あたしゃあシドニーに住んでなくて、
本当に良かった(言葉も通じないし)。鰻もチャンポンも食べたい時は即食べられる!ハンデですねえ。

でも、それとは違う良さが有るに決まってるのは、勿論分かって居ます。