2010年1月9日土曜日

私にとっての天神尾根 その三

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 詰り、普通日帰りの山を二泊でやる訳で有る。ね、酷いでしょう。馬鹿なら完全に煮詰まった状態なのは間違い無い。でも良いのだ、遊びに来た様なものなのだから。白状すれば、雪山に遊びに来たのだ。
 通り掛った登山者は、ノンビリして居る我々が泊まりだと知ると、決まって「良いですねー」と言う。フッフッフ、羨ましければやれば良いのさ、簡単なんだから。
 完全に定着登山の、滅茶苦茶ダラダラバージョンだ。普通の定着登山は、結構大変なのだ。後述の、Iに連れられて初めての春山の先発隊の時は、横尾のベースから北穂をピストン、翌日は槍をピストン。真っ暗なうちに起きて日の昇る前から歩き出し、ベースには昼頃には戻って昼寝なぞなさる訳で、谷川岳の我々と結果的には似て居るが内容が月とスッポン、別物なので有る。
 暗いうちに出発し、昼には戻る訳は、雪が締まってアイゼンが効くうちに登ろうと言う事で、雪が腐りアイゼンに団子となって付着するのを嫌うからだ。
 まともなら、北穂は九時間半、槍は十一時間コースで、若かったあの頃何も怖くなかった♪と歌では無く、ぶっ飛ばして昼には戻って来ただけの事。谷川岳は、な、何と三時間半コース、如何に好い加減か分かって頂けますか?えっへん。(一寸と恥ずかしい)
 雪山でダラダラ、嬉しいなあ、綺麗だなあ、酒が美味いなあ、楽ちんだなあ、わーい、又やろーっと!
 天神尾根だった。自棄になって子供みたく騒いで居る場合では無い。
 秋に登った事が有る。三昔前の事、思えば上越の山で秋は其の一回のみ、夏はやがてアップする八海山のみ、後は全て春山で有る。私には、上越即ち春山なんですなあ。
 天神尾根は中頃より樹木が殆ど姿を消す。森林限界では無いのだが、豪雪の為樹木が存在不能なのだろう。偉く過酷だ。
 従って紅葉と言うより、紅草で山が色付いて居る。爽やかな秋晴れの日で、行き交う登山者も多かった。擦れ違ったおじさん(え、私もだって?当時は違ったの!)が尻上がりの北関東弁で言う。
「でかいザックだなあ、人でも入ってんかい」
 私は殺人者か?でも一応幕営装備(と言っても避難小屋泊まりの予定なので、テントで無くツエルト)だから大きい。皆さんは秋の天神尾根ピストンなので軽装だから、私のでかいザックを異様に感じたのだろう。
 谷川岳山頂からは嘘の様な風景の展開が望めた。色付く上越の山々よ!でも、私は気圧の谷が接近して居る事を承知して居た。此の晴天は今日限り、明日は荒れる、と。そして谷川岳から先は、嘘の様に人影が消え、静寂な山となる。
 小障子非難小屋が今宵の宿だ。やっと到着、例のカマボコ型の小屋(?)の戸を開けると、十人程の目が迎える。詰まり既に満員状態。
「どうぞ、詰めますから入って下さい」と声を掛けてくれる。何と優しい人達!
 (私にとっての天神尾根 その四へ続く)

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

谷川岳も、いったん天候が荒れ始めると怖い山でしょうね。なるほど雪が硬いうちに 登って降りてくるのですね。午後は至福の時ですね。
横尾から雪がごっそり残っている春先に 北穂高に登って降りてきて、翌日槍ヶ岳に登って降りてくる というのも、大変な登山ですねー。縦走するのと また違う楽しみ方なのでしょうか。春先に ここをやるには アイゼンも、カラビナ、ロープもみんな装備が 要るのですか。

kenzaburou さんのコメント...

そうなんです。縦走とはまた違った楽しさです。荷が軽いので行動も素早く出来ます。

カナビラもザイルも不要です。唯々雪をこなして行くのですが、北穂沢は急峻でした。