2010年1月13日水曜日

私にとっての天神尾根 その四

FH000027

 

 写真は本文と無関係です(ペコリ)。
 もう詰められない、詰められてもギュウギュウは私が嫌だ(我侭で済みません)。「有り難う御座います、結構ですので」と、戸を閉める。周りの平らな所は既に三張りのテントで埋まって居て、ツエルトすら張る余地は無いのだ。こうなりゃあ、張れる所迄行くの一手。行ってやろうじゃないか!(よ、男、健三郎!)
 で、岩稜ばかりでツエルトも張れず、一生懸命登って万太郎を超えて、毛渡乗越迄頑張って仕舞ったが、結局其れが幸いだったと知るのは、翌日で有る。
 毛渡乗越は樹林の狭い鞍部に道標が有るだけ。夕暮れが迫り、仕方無く道標にツエルトを引っ掛け、頭から被って夕飯の支度を始める。樹林は傾斜が強く、ツエルトは無理だったのだ。ま、慣れた状況では有るのんだけど、嬉しいんだか悲しいんだか、良く分からん。
 予報違わず夜より降り出した雨は、夜半より風を伴い、山が唸る。ツエルトも叫びはためくが、体で確り押さえてうつらうつらする。不安なのは言う迄も無い。救いは樹林帯で有った事だ。さも無くば、芋虫の様にツエルトにくるまり、風雨に耐えねばならなかった。
 さて、翌朝。相変わらずの天候で、万歳!朝飯は何をとったのだろう。当時の事だ、パンとチーズとコンソメスープ、多分そんなとこでしょう。
 雨は強くは無いが、風が強い。途轍もなく強い。嬉しい状況で有る。
 エビス大黒を注意して越え、仙ノ倉へ登る。万太郎を昨日越えておいて良かった。仙ノ倉の風が凄まじい。前から吹き付けるので体を傾け姿勢を低くして進むが、目を開けて居られない。砂がバチバチ当たるのだ。痛いの痛く無いのって、時々砂以上小石未満の塊迄当たる。風に揺すぶられてフラフラし、砂に叩かれ、平標を越えて下りに掛かってからやっと、強風からは解放された。
 小障子非難小屋と其の周りのテントの諸君は、其の風の中万太郎迄越えたのだ。さぞや苦しんだ事だろう。其の点私は結果としてラッキーだった。仙ノ倉を越えれば何とかなる訳だから。
 ん、小障子の諸君は、こんな天気に行動するこたあない、と停滞を決め込んだか?私じゃなかった、そんなぐうたらな奴は上越の山には居ない。
 自己弁護だけど、此処迄ぐうたらに堕ちたのは還暦あたりからで、其れ迄は真摯に行動して居た。笑っちゃあいけねえ、本当なんですぞ。
 天神尾根を何度歩いただろう、十五度位だろうか。ドッピンカンの日も有れば、雨の日も有り、雪の日も有る。当たり前だなあ。
 丹沢と上越の天神尾根の共通点は、名前だけで有る。他は何も無い。環境もスケールも景観も、全く違う。とことん違う。でも、私に取っては、両方とも馴染みの深い天神尾根なのです。

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

山が唸る、、、こわいですね。そんなにも気象の変わりやすい天神尾根を15回以上も歩かれた、、、!!! それだけ山に行かれて、やっぱり丹沢が一番ですか? 一番2番は ないのかな。どんな山もそれぞれ良さがあるので。
関係ないですけど、ハイチの地震のニュースを聞いていたら、ハイチで地震は200年ぶり、、、と言っていました。200年といえば、日本なんかでは 富士山がむかし噴火したときみたいなものなんでしょうね。富士が噴火している浮世絵を見たことがありますが、想像を絶します。自然災害も、こわいものですね。

kenzaburou さんのコメント...

それぞれの山にそれぞれの良さが有るのは、全く仰る通りです。
丹沢は、初恋の山なので、あたしには別格なのです。

ハイチは大変でしょうね、貧しい国程災害の被害が大きいと、本で読みましたが、其の指摘どおりになった様です。