2009年9月25日金曜日

新婚旅行とキリギリス その三

FH000061

 

 妻はやっと下る。手を貸すが、転ぶ。私も足元が危うい。従って、付きっ切りになれず、目を放すと妻は転ぶ。石棚からの急な路が凍っているのだから、至極当然だ。しまいには妻は尻をついて、ズリズリ下った。立つと転ぶのだから。
私「もうじきだよ、頑張って」
妻「さっきもその前も、もうじきだって言ったわよ」
私「今度は本当に、もうじきだよ」
妻「もう嫌、こんなの!」
 夕暮れ近くなって、やっと中川温泉に着いたのだ。多分妻には、地獄の二日間だったのだろう。とことん気の毒である。でも温泉は天国だったので、苦しい思いがあればこそ素晴らしい思いもあるという事なのだ。え、私が言っちゃあ駄目?まあね、余分な苦しい思いをさせた犯人だし……。
 処で箒沢山荘が今の地図に無い。箒沢荘と名前が変わり、マークも宿泊施設に変わった。山荘時代に友人達(古い朋友達、前述の烏仲間のKJ、EM、TKである)と泊まって、桧洞丸へ登った事がある。
 箒沢山荘の部屋にキリギリスがいたのだ。飼っているのではなく、勝手に外から入って来た奴だ。我々がウトウトとすると、其のキリギリスが鳴く(っていうの?)。スイーッチョッ!!!目の前が真っ白になって目が覚める。又ウトウトとする。キリギリスが鳴くスイーッチョッ!!!目の前が真っ白になって目が覚める。
 それを何度も繰り返した。キリギリスを追い出せば済むのだが、眠くて寝てしまうのだ。キリギリスの声は、間近だと強烈な破壊力を持つと、思い知った。是非一度キリギリスを購入してお試し下さい。
  実は試すだけ野暮ってもんで、小さな一匹(で良かったっけ?)の蝉の声(?)が町内一杯に響き渡る。キリギリスも同じって事。
 この朋友達は決して山好きな訳ではないのと私は思っているのだが、古いアルバムを見ると、何度も私に丹沢へ連れ込まれている。今思うと気の毒でしたね~♪尤も、何度も一緒に来たのだから、ひょっとすると山好きだったのかな?
 ANと、其の連れ合いのNBは一回も参加していない。この二人は(当時はメタボでもなかったのに)山なんか飛んでもないという罰当たり(?)なので、当然至極。って事はやって来た諸君は、矢張り山好きだったんだと納得して、安心したのだ。
 次に訪れたのも冬だった。石雪崩を起こしたBとそのお仲間達と一緒だ。畦ヶ丸の避難小屋に泊まるつもりで、夕刻に着いた。その日は、前夜泊まった犬越路の避難小屋から桧洞丸をピストンし、それから雪道の相甲稜線を延々と来たので、そんな時間になってしまったのだ。
 やっと今宵の宿に着いたと喜んだ一同だが、良くしたもので、珍しくも小屋は満員だった。とてもじゃ無いが、我々五人が入れる余地は無い。
(新婚旅行とキリギリス その四へ続く)

4 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

山の温泉 いいですねー!!! 12月の山行きのあとの温泉ならば 特別でしょう。
そのころには 耳元にキリギリスはいない時期ですし、、、。

kenzaburou さんのコメント...

山の温泉、本当に良いですよ!!
今度それで1章設けます。

処でオーストラリアには温泉は有るのでしょうか?

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

残念ながらオーストラリアに温泉はありません。古い大陸なので、活火山がないのですね。ニュージーランドには 地震と火山はたくさんあります。ニュージーランドはオーストラリアの7つ目の州だとか 冗談で言っても ニュージーランド人は怒らないで、本当に 自分はオーストラリア人の兄弟のように思っている人が多いです。でも私はニュージーランドは 寒い、地震が多い、雨や霧が多く湿った日が多いという理由で あんまり好きではありません。でも温泉があるのは うらやましいですねー。

kenzaburou さんのコメント...

それはさぞ残念でありましょう。

オーストラリアに欲しいもの、温泉と長崎チャンポン、ですね!