2022年12月3日土曜日

閑話 その三百八十九

 乾燥は早く軽くて雨も弾く、新素材の長所は凄いけど、火が点いたら溶けて燃え広がる。カッターシャツに燃え移らなかったのはセーターを着ていたからだ。登山者の友セーターである。ゴアの火なんざ何でもない、なんですよ。

 ウインドブレーカーは駄目にしたが、下手すっと火達磨になる処だったかも。最悪はテントにも火が移る事。これに懲りて気を付けるです、命に係わるもんで。

 シェラフの穴はがガムテープで縛って臨時処理をしてくれた。彼は偉く器用なのだ。火傷した三本の指が痛くて、焼酎の水割りを造ってそのなかに指を漬けた。ぬるんで来たら飲み又水割りを造る。それを繰り返しているうちに酔っぱらって、そして痛みも治まった。文字通りに酒が薬かw

 小用をたしに表に出ると、たまたま雨は上がって町の明りがチラホラ見える。山は一面のガス。上の写真はこの日に無関係です、失礼。

 二十二時を過ぎたので寝る。はひたすら熟睡してあたしは良くてうつらうつら。バテていても(この日はバテてないが)喰える眠れる、は登山者の一番必要な素質を備えている訳だ。どうせあたしなんざ駄目な奴さ。

 翌朝雨は上がった。テントを畳んで下るだけ、と思ったら大違いだった。あたしは登山靴だったが、石も階段の丸太も滑る滑る。一度滑って転んだ。濡れた石がこんなに滑るとは。もう、へっぴり腰の冷や冷やもので見られた様ではない。あたしゃあバカ尾根すらとっととは下れねえのかよお(涙)。

 はもっと悲惨だった。ストックを頼りにやっと下るのだ。二時間十分で登って二時間掛けて下った。そう、下れない男になってしまったのだ。これは大分ヤバい。本人も自覚はしたらしい。下れなくなったら最早登山者ではない。唯のメタボおじさんだもんね。

 里湯に寄ってゆっくりと温泉に浸かって、取り敢えずの疲れは流して帰りました。

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