2022年9月17日土曜日

休題 その四百四十一

 

 大分前にブルーバックスの「量子コンピューター」を読んで玉砕したと書いた。分かった気にさせるのではなく、分かって貰うと竹内北大助教授が書いた本だ。

 重ね合わせ状態の位相を変化させ、4分の1だけ異なる場合は赤道上の右側の点に、4分の3だけ異なる場合は赤道上の左側の点に対応する云々。量子の縺れ合わせを利用する前にあたしの貧弱な脳が縺れてしまった。

 今度は分った気にさせてくれる本に挑戦した。東大物理学科卒業後、研究を続け乍ら著作活動も盛んにしている小林雅一氏の本だ。量子コンピューターの予想される能力、社会への影響、その実現性と限界等が主で、構造についてはサラッとしてくれている。

 スパーコンピューターでも何億年も掛かる計算を数十分でやる。莫大なデーターを最適化する分野に於いては非常な強みを持つ。普通の経理処理や顧客処理なら従来の物で充分間に合う。現在の主流暗号は巨大素数を掛け合わせて作成し、解く鍵はそのうちの一方の素数である。量子コンピューターは巨大数の因数分解を容易くやってのける。従って現行の暗号は破られてしまう。

 各国が量子コンピューター研究に巨額な予算をつけるのも道理だ。例に依って日本政府予算は、アメリカやシナとは桁が違う少なさだ。これじゃ優秀な頭脳は海外に流出してしまう。科学立国と言う言葉を忘れたのか。

 因みに3ビットで現わせるのは16種類のうちの一つだ。量子ビットなら同時に16種類を保持する。それが刻々と変化する。量子コンピューターの演算速度の桁違いの大きさはその為なのだ。何だか分かった様な良く分からない様な、ですな。

 最期に警鐘も鳴らしている。主要メディアはこぞって量子コンピューターを囃し立てているが、本当に造れるかどうか誰も確信を持てぬ儘大金を注いでいる、と。それこそ難しい問題で、ど素人のあたしが考える問題ではないですなあ。

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