2022年9月14日水曜日

休題 その四百四十

 

 

 今更乍らなので一寸と気後れするが「君の名は」をツタヤで借りて来て見た。八年前のアニメ作品だ。断る迄もなく御存じであろう。鬼滅の刃、千と千尋、タイタニック、アナと雪の女王に次ぐ日本五位の興行成績に輝く。監督は新海誠、宮崎駿並みに人気があるとは知っていたが縁がなかった。

 ネタバレでも構わないでしょう、古い映画だしね。時間差の入れ替わりとは斬新な発想だ。最初にケチを付けておくと、実際は助かったのだが、ストーリー進行では全く説明できない。ここんとこどうしてくれんだ。あたしが様な人間はこの矛盾に拘っちまうだでよ。

 それは忘れるとしよう。結構難しいがやればできる。そうは見ないので多分付きだが、日本のアニメ全体に言えるのだろうけど、描写の美しさは息を飲む程だ。景色は勿論町や暮らしの描き方もだ。細かいし正確だし。本題からズレました、失礼。

 流石歴代四位、引っ張ってくれた。突拍子もない設定なのに引き込んでくれるのは、原作と監督の力量だろう。段々主人公達に同化して行く。

 三年の時間差が、彼女が大惨事で亡くなっている一人だと言うのも意表をついている。じゃあ今迄の入れ替わりはオカルトになっちまうが? そうはしない処も良い。

 大惨事を知っていて避難をさせようとするが誰も耳を貸さない、極めて当たり前である。当たり前を当たり前に描くのはとても良い。そこで最初の文句になるが、何で実際は皆助かってんだ? 忘れると決めたんだからそれは良い。

 お互いに殆どその記憶を失いつつも何かを探している気持ちだけは消えない。この描き方が切なさを呼ぶ。あたしみたく一本鎗には遠く及ぶ処ではない。はい、自覚はしてるですよ。

 二人が現実の東京で出会う時、矛盾を取り敢えず忘れて、心から応援するあたしでした。主人公達が爽やかだからです。

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