2014年9月3日水曜日

内緒の話ですからね その二




 私は泊まった。勿論物好きだからだ。誰も居ない秋の一日だった。畦ヶ丸から下って来て、未だ時間も早い(十四時前)。普通は一時間下ってバス停に着き、其の日の夕刻には帰宅出来るだろうが、変人はそんな事はしっこない。あれ変人って私の事?
 とぼけるのは大概にして、流石に時間を持て余した。戸を閉めると暗くなる。かと言って、戸を開けて本なぞ読んで居ると寒くて堪らないので、付近を歩き回って時間を潰したが、変人もやって見ると、意外と大変なのだ。良かったら是非一度お試し下さい。
 翌朝は、一番のバスで松田へ下ったのは、言う迄も無い(情無い?)。だって、直ぐ其処がバス停なんだから。
 此の小屋でYと休んだ。バス停から、幕営具一式を担いで登って来たのだ。目指すは鬼石沢。此の沢の険悪な部分は、小屋より下流に集中して居るので、駄目駄目な私達でも小屋から上流なら、入れると言う訳で有る。
 二ヵ所サブザイルのお世話になった。一ヶ所は滝の巻きで、ザラザラな所を這い登った時。もう一ヶ所は、別の巻きで川原に下降する時。下降の時の、サブとは言えザイルの威力は凄い。無ければ降りれないだろう。
 で、無事に頂上に立てたのだが、ポツポツと登山者が通る。私達は一服つけて待つ。誰も居なくなるのをだ。違法行為なので小声で話すけど、避難小屋に入らずテントを張るのだ。だから幕営具を担いで居たのだ。
 前に一度Yと、此処の避難小屋に泊まった。誰も居ないぞシメシメと思って居たら、暗くなってから単独の青年が登って来た。同宿者が居ても全く構わないのだが、恒例の夜中の宴会が有るので(閑話七十一、七十二を参照下さい)、こっちが遠慮するの。
 此の夜中は表に出て、月明かりの元での宴会となって、其れは其れで風情が有って良いのだが、やがて深々と冷え込み、余りの寒さに音を上げたのだ。従って、今回はご苦労にもテントを担いで来た訳だ。其処迄して夜中に飲みたいのかって?はい、そうです!!
 (内緒の話ですからね その三へ続く)

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