閑話番外 その七十八

　バスに乗る時カメラを落とした話はした。ガチャン！と音がしてレンズカバーが飛んだ。あたしには、レンズが砕け散った様に見えた。

　カメラの無事を確認したとも書いた。実は間違いだった。ボディは大丈夫だ。レンズがいかれて仕舞った。

　ピントを合わせても、勝手にずれる。望遠を利かせてもずれる。思うに、数枚組み合わされて居るレンズのうちの何枚かが、フリー状態になったのだろう。

　依って、勝手にボケたりする訳だ。試しにピントを合わせて置いて軽く叩いたら、ずれた。無限遠も出ない。どっか途中で遠方にピントが（たまたま）合う事が有る。

　目も悪いもんだで、ピントが合ってるかどうかも不確かな上に此れだ。遠くだから、無限遠に回しとけ、も出来ない話になっちまった。詰まり、もうあのレンズは使えないのだ。

　“ハイクのお誘い”の猿や蜂の看板がボケて居たのは、あたしの目がボケて居た所為なのだが、あの距離では焦点が合わなかった可能性も有る。

　ニコンで一度、今のレンズを直して貰った。修理代で、ニコン純正に拘らなければ、新品が買える。中古だったらランク上のレンズが買える。

　ではそうしましょう。一寸と寂しくは有るが、己のアホの所為だ。さようなら、ニコンのレンズ。