2014年5月10日土曜日

山の報告です その四十六




 明けない夜は無い。藪を一時間も漕げば雪の上だ。万歳!! 白砂山Ⅰの時は、もっともっと手強い奴が丸一日続いたんだ(涙)。
あとはワリワリと登る。適当な平が有ったので、其処で幕営と決める。此の日は午後から雨の予報。早いに越した事は無い。到着は十二時一寸と過ぎだった。



 テントを張って雪も集め、整理が済めば乾杯だ。飲んで馬鹿話をして、夕方飯を食って寝る。Yは寝る、が正しいかな?あたしはうつらうつらでやっとだが、Yは大鼾だ。
 予報は当たった。夕方前から雨だった。テントで聞く雨音は悪く無い。翌日の天候は気象庁が保証して居る。良い話は信じる(信じたい)もんだ。
 どんどん冷え込んだ。雨は止んで居た。朝を迎える時は零度を切った。詰まり、好天なのだ。寒くて辛かったけども其れが何さ、晴れれば良いのさー♪
 アタックの出発は楽ちんで有る。アタックザックを担いで出掛ければ良いだけだ。雪はガチガチ、蹴っても跳ね返されるだけ。そんな時こそアイゼンが効くのだ。アイゼンの爪が、小気味良く凍った雪に食い込む。
 ワンピッチで、東谷山だ。過去二回共此処迄だった。今回は違う。急斜面を下って前進するのだ。尤も急ぐ旅ではあんめい、ゆっくりとしてからの出発で有る。
 去年の男性二人のパーティは、此処を下って登り返したあたりで力尽き、幕営したのだろう。ひどく吹かれ乍らなので、全く無理も無い。で、一晩中吹かれ続けたのだ。何と気の毒な。結局、其の侭下山だったそうな。
 天気が変われば世が変わるのが山だ。我々は太陽の元、雄大な景色に囲まれて、風に揺すられる事も無く、雪稜漫歩だ。何と言う違いだろう。
 ゆっくりと歩を進め、日白山に立った。狭いピークだ。テント一つを張るのでやっとだ。唯、此の日は春霞の為、キリっとした景色では無い。ま、贅沢は言うまい。

 
 下りに掛かると意外にあっさりと東谷山へ戻った。其処の下りで、一寸と変だと感じる。
私「Y、方向を」
Y「はい」
 矢張りずれて居る。
私「あっちだ。トレースを見落とさないで」
Y[了解]
 固い雪だったので、アイゼンやピッケルの痕跡はほんの僅か、其れが日に照らされて消え失せるので、痕跡は全く無くなる訳なのだ。続きます。

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

良い写真ばかりですね! 良いお天気に恵まれて良かったですね!!!

kenzaburou さんのコメント...

本当に良かったです!!